ちいさな泥棒

その男 ヴァン・ダムのちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

その男 ヴァン・ダム(2008年製作の映画)
4.5
独特な吸引力のある作品。時代に翻弄された男ヴァンダムご本人役自虐作品。

作品にも恵まれず娘の親権問題にも悩み金銭的にも余裕がなく前借りをしないと弁護士費用が払えず。そのお金を引き落としに行った先の銀行で強盗に遭ってしまいなおかつヴァンダムが犯人だと勘違いされてしまい物語は進んでゆく…

まずは警察達の外側の様子を見せて今度は内部で起きている犯人達と事件の様子を見せていくなかでヴァンダムが抱える内面の事情も見せていく。

「キャメラ?キャメラ?キャメラ?」って防犯カメラを隠しカメラだと思い最初ドッキリだと思ったヴァンダムかわいい。犯人一味のなかに熱狂的なヴァンダム信者がいてって設定もおもしろすぎる。ジョン・ウーの愚痴たれてたのはヴァンダムじゃなくて彼だったw(ほかのレビューを見るとヴァンダムがぐう垂れてる感じになっててかわいそう)

ただ疲れてるからそっけなく見えてるだけなのにおしゃべりなタクシーのおばちゃんに「映画で見るほうがよっぽどいい男だわ!」と車中終始グチグチグチグチ言われてすみませんと謝りながら窓の外を眺める様子を長回しで撮ってて観てるの辛かった。裁判所で娘ちゃんに「パパがテレビに出てる次の日は学校で笑われちゃうの」ってシーンは思わず吹き出しちゃったけどもう切なくて切なくてちょっと泣いてた。

この作品ではヴァンダムは誰かのことを悪くいうわけでもなく「僕は人のことを悪くは言わないんだ。でも世間は僕の見たままで色々好き放題言う。…そういうことなんだよ…」って泣きながら独白するシーンはまだヴァンダミって浅々にもほどがあるのに泣いちゃいましたね。独白シーンへの非現実と現実を曖昧にしたようなあり得ないけどあり得ちゃうって思わされる持っていきかたが好き。あそこはアドリブもあるのかなぁ?ご本人の本当の気持ち?ただのセリフ…?ある程度セリフはあったとしても彼の意見やアドリブもあったらいいな。そこでの話しかたや仕草がアメリカっぽくなくフランス系っぽくて新鮮。襟足がくるんとしてるの最高でした。

まず『レプリカント』から入ってネトフリオリジナル映画観たりアマプラオリジナルドラマ観たり、そのあたりの自虐系を観てから答え合わせのようにポツポツと若かりし日の作品を観るってスタイルでやらしてもろてますので、あっさあさでも涙腺にきたのかと…
見た目も年齢的にもいい感じで哀愁ダダ漏れでよかったです!