製材所の女労働者たちの見事な手さばきと長年の労働で節くれだった指をひたすらアップで捉える開幕シークエンスが素晴らしい。それが何を言わんとするショットなのかは俺にはよくわからないが、意味など大したものではないのであって、普段はあまり意識することはないがそこにあるもの、そこに確かに存在する(女の)労働者の姿形を記録する意志のようなものに心を打たれてしまうのだ。
以降は母娘のハリネズミのような会話劇が顔面クロースアップの連続で切り取られ合間合間に哀調を帯びたテーマ曲が入る、というのはこの監督の『ナインマンス』とだいたい同じなので十分以上連続して目を開けていることはできなかったが、その極端な構図と構成が決して相容れない、けれども完全に離れることなどできようもない母娘の複雑な関係性を表しているようで、寝ているのだがベルイマン映画のようでもあり面白かった。そういえば、ベルイマン映画もよく寝る。