シンタロー

マンディンゴのシンタローのレビュー・感想・評価

マンディンゴ(1975年製作の映画)
3.9
アメリカ史の闇を映画化したリチャード・フライシャー監督による問題作。
大農園を営んでいたマクスウェル家の実情は、黒人奴隷を育てて売買するという計画的な"奴隷牧場"だった。純血の黒人種"マンディンゴ"を繁殖して儲けるために、牧場にいる純血娘、パールに種づけするたくましい"マンディンゴ"を探していた。リウマチを患い、一人息子のハモンドに現場を任せている父ウォーレンの気がかりは、黒人奴隷としかセックスしたことのないハモンドに相応しい白人の嫁をもらい、跡取りができることだった。そんなときに従姉妹のブランチと縁談話が持ち上がり…。
アメリカ史の恥部を晒した点で「ソルジャー・ブルー」と並び賛否両論が渦巻いた作品。個人的には本作の方が映画としては良く出来ていると思いますが、不快指数も圧勝。制作側もそれを意図しているのは明らかで、アンチ白人なブラックムービーの先駆け?黒人を獣や石ころ同然に扱う言動の嵐が酷い。黒人同士の野蛮な格闘を見世物小屋の如く歓喜して見物する白人ども…発狂したブランチが黒人娘に鞭打つ鬼女ぶり…見るに耐えないシーンが続く。自ら足に障害があり、こんな差別は間違っていると感じているハモンドの、残酷で身勝手な憐れみがさらなる悲劇を生むという、救いようのない作品になってます。
主役のハモンドを演じたのはペリー・キング。ニック・カーター系の男前で、なかなかの熱演ですが、本作が衝撃的過ぎたせいか…以後出世は出来ず、他で観たのはマイケルJのデビュー作?「処刑教室」くらいかなぁ。名優ジェームズ・メイソン。晩年はこのような醜悪な役から、善人まで幅広くこなした素晴らしい演技派。黒人の子供を終始足置きに使うという醜態ぶりです。ヒロインはスーザン・ジョージ。70年代を代表するブロンドセクシー系。お嬢様という仮面を被ったビッチなブランチにぴったり。ヒスっぽい熱演で、これを彼女の代表作という人もいるんじゃないですかね。"マンディンゴ"のミード役で、プロボクサーのケン・ノートンが出演したことも話題になりました。
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