シネパピ

マンディンゴのシネパピのレビュー・感想・評価

マンディンゴ(1975年製作の映画)
3.5
CS番組ザ・シネマ
町山智浩のVIDEO SHOP UFOで鑑賞

19世紀半ば(南北戦争の約20年前)のアメリカ奴隷制時代を舞台にした作品。
リチャード・フライシャー監督は名作「風と共に去りぬ」をこの作品で暗に批判している。

奴隷制時代のアメリカを生々しく模写した内容のでアメリカでは猛批判を受け、長らくソフト化されていなかったが、タランティーノがこの作品のファンで大絶賛したことから、近年再評価されることになった。
町山さんの解説では「公開時は大ヒットし、続編まで作られた」とのこと。

映画の中で繰り広げられる奴隷制時代の光景は信じ難い事ばかり。犬のブリーディングのように人を交配させ市場で取引し、最後はゴミのように捨てる。その映像はとんでもなくグロテスク。でも、これが日常だった時代が確かにあったのだから。

アメリカで猛批判を喰らったのもアメリカ人が隠したい過去の恥部をよりによって映画にして世界に公開しまったからだろう。負い目を感じるからこそ赤面して激昂するのと同じ事だ。

この映画では南部の奴隷制バリバリだった頃の日常を舞台に、白人と黒人の恋愛、友情、裏切りの物語が語られていく。この語り口がとても上手く最後まで飽きさせない。

差別や偏見が当たり前の日常に違和感を感じ、それを乗り越えられそうだった主人公が最後の最後、原点に戻ってしまった姿は、今なお世界中で起こっている人種差別の根源なのだと改めて思った。
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