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イタリア式離婚狂想曲のyoko45のレビュー・感想・評価

イタリア式離婚狂想曲(1961年製作の映画)
4.2
 マストロヤンニ、シチリアの落ち目の貴族でヒドい男を演じていますが、どこか遠くを見つめるような目、とぼけた感じが可笑しくて何故か憎めないという不思議な作品です。
 マストロヤンニが演じる男だけではなく、男の周辺もなかなか面白いです。男の妻、もう我慢できないと感じるような迫り方をします。男の行く先々に妹とその恋人がいるのも笑いを誘います。裁判での弁護人による被告の弁護があまりに詩的、情緒的で、傍聴している人々が恍惚とした表情に・・いけない行為が何か格調高く崇高なものへとすり替わっていきます。
 名誉ある殺人は刑が軽いことで、男の願望がただの妄想に留まらなくり、偶然も重なって名誉を回復する環境が整っていき・・あらすじは書けません。文字にすると我が身に不幸がおとずれそうな気がします。それくらい道徳的にはよろしくない内容ですが、よくこのような話を組み立てたものだと感心してしまいました。
 最後の場面、私だけのもの、貴方だけのものなんてことは無いのだなと・・とても印象に残ります。
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