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真夜中の招待状のbluetokyoのレビュー・感想・評価

真夜中の招待状(1981年製作の映画)
2.9
話のころがしかたがそれなりにうまいので、見てしまうわけだが、あまりに、設定があほくさいので、それが逆効果になってしまう。
最後の方になって、ネタバレになると、バカバカしくて、怒り出す人も出てしまうかもしれない。
前半のほうで、散々登場してきた心理学やらオカルト、サスペンス、ホラー、そういったものは、いっさい、関係ないのだ。撒き餌でしかない。なくてもいいくらい。
そもそも、心理学の先生、会沢は、なんのために関わってくるのか、不思議だ。
とはいえ、たぶん、本当の主人公は、会沢なのだろう。あんな金持ちの美人の女と仲良くなりたいなあ、という妄想の話なのだ。

話的には、クズ四兄弟、プラス、鬼畜久世の方が余程面白い。

ということで、鬼畜久世の視点で整理してみる。
久世の息子が、四兄弟の長男、原田順吉の処方した薬によって、怪物みたくなってしまった。
順吉を監禁して、怪物の息子の絵を千枚描かせる。そんなことで許してもらえるのかと甘く考えて引き受けたが、描いていくほどに、頭がおかしくなっていき、首つり自殺しようとする。久世に止められたので、逃げ出し、橋の上から飛び降りる。
久世は、順吉の妻を拉致し、怪物の息子の面倒を見させ、さらに、性的虐待を行い続け、それはいまも続行している。
三男、捷平は、順吉に薬を紹介したらしいが(医療関係者とも思えない?)、久世が、順吉の妻を拉致していることをかぎつけ、恐喝しにやって来た。捷平が自宅に帰るとき、久世は、捷平のポケットに、化け物になった息子を二重写しにした写真(にせ心霊写真)をひそかに入れ、さらに、夜間に、繰り返し電話をかけ、怪物の息子の声を聞かせた。捷平は、ついに頭がおかしくなり、海に落ちて行方不明。
二男、和生は、明石五月との浮気問題に悩んでいて、よせばいいのに、二人の兄弟の謎を調べはじめ、久世のことを突き止める。久世の家を訪れ、ショックを受け、それが最後のとどめとなって、自殺する。和生の後を追ってきた五月は、和生の首吊り現場に辿り着くも、間に合わなかった。そういうわけで、五月も後追い自殺する。
樹生は、二人の兄弟の失踪を気にしていた。金持ちお嬢様の稲川圭子と婚約していたからだ。興信所でも使われて、変な勘繰りをされたらやばいなと心配していたのだ。
そんなとき、和生から封書が届き、真相を知ることになる。その真相を稲川家に知られると、まずいので、単独で解決することにした。それで、急に、11日なったら、自分も失踪してしまうと、騒ぎ出した。
当日になると、会社の帰りに、姿をくらませ、飛行機で熊本へ。タクシーかなんかで、高千穂線沿線の久世の住んでいるところへ向かった。
久世に1000万円で手切れにしてほしいと持ち掛けたが、久世はかえって激怒、樹生を、化け物になった息子の部屋に閉じ込めた。
ひえー、化け物と一緒なんて、いやだよー、と騒いだが、久世は許さないのであった。
稲川圭子一行が来たときに、久世は、樹生を開放するわけだが、樹生は、久世に飛び掛かって、このやろー、化け物と一緒にしやがって、みたいなことを言ってしまい、そばに、稲川圭子がいることに気付き、万事休したのであった。仕事は出来るみたいで、出世はするに違いないのだろうけど。

アメリカの飛び立つ樹生を見送る、稲川圭子。でも婚約は破棄していた。なぜかその場にいる会沢先生。
会沢先生を好きになっちゃうかも、と稲川圭子はうそぶくが、会沢の組んだ指をチラ見する。
会沢によると、指を組んだとき、右手親指が上に来ると、ストレスや悩みを抱えているそうだ。で、明石五月が、そうで、もちろん、樹生もそうだったのだ。しかも、稲川圭子が、チラ見したときの会沢の組んだ指も、右手親指が上に来てしまっていた。

暇な金持ちお嬢様の結婚相手探しの、重要な判断材料が、一つ加わったというオチである。
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