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蜘蛛の巣のENDOのレビュー・感想・評価

蜘蛛の巣(1955年製作の映画)
4.2
とにかく夫婦の息子が1人で食事するシーンに心痛!ウィドマークは患者の自治権を守り体制に反抗する医師として善良でありたいと願う。だが自らの家族を蔑ろにするあまりグレアムは不安定に。さらにバコールに惹かれて一夜を共にしてしまうだらしなさ。カーテンの生地をどうするかというあまりに瑣末な揉め事が群像劇を揺り動かす。ミネリの会話劇は善悪の二項対立に還元せずに全ての人間の弱さを際立たせる。そこが新しいしリンクレイターに愛される理由でもあるのかも。同時代のメロドラマとは一線を画す。冒頭カーを車に乗せるグレアム。その2人の会話こそが本編を予感させる。「患者と医者はどちらも狂っている点で同じだけれど患者は治療できる」と言い放つグレアムの皮肉が言い得て妙。1つしかない身体では対応できない程の皺寄せが一気にやってくる終盤。全てを守ろうとして全てを台無しにするウィドマークをそれでも応援する!往年の名女優は仕事に生きるオールドミスというタイプキャストだがギッシュの深みのある表情に泣く。
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