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リリィ、はちみつ色の秘密のゆずのレビュー・感想・評価

リリィ、はちみつ色の秘密(2008年製作の映画)
3.5
14歳の頃に4歳の時の出来事を記憶していただろうか?ってちょっと思った。それほどまでに衝撃的な出来事だったからだろうか。
記憶するにはまず認識せねばならず、4歳の時にわけも分からず起こった事件をもしかして14歳頃になってようやくあの出来事が悲劇だったと理解するに至ったような感じだろうか。
事件を客観的に理解できる年頃になることが、同時に母親が自分を愛していたかどうかを疑えるようになるということだった。
そんなわけでリリィは母親のルーツを探しに家を出る。事件以来心を閉ざした父親から逃げるように。

ありえない悲劇のトラウマを引きずる少女が、人の愛に触れ、再生していく物語。ダコタ・ファニングはやっぱり良い。
彼女と関わる人々はほとんど黒人で、1960年代の人種差別を描いた側面もある。
罪悪感に苛まれていた少女と、差別され続けることでまるで存在が罪であるかのように扱われる黒人たちの境遇は似ているのかもしれない。
しかし、養蜂場を営む三姉妹の長女は信念を持った強い女性で、差別に溢れた世界の中で唯一白人の手が及ばない聖域のような雰囲気があった。(それでも差別被害は起こるわけだが)
リリィはこの聖域にたどり着けたからこそ、本来の世界の姿を知ることができ、間違ったまま大人にならずにすんだのかもしれない。



2/19 リリィ、はちみつ色の秘密 録画吹替
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