抽斗ひきだし

ハワーズ・エンドの抽斗ひきだしのレビュー・感想・評価

ハワーズ・エンド(1992年製作の映画)
4.2
原作が好きだったので、どうかしら?と思いながら観たがとても満足した。

小説はもっと細々としているのでわかりにくかったが(いや、単に私の読解力がなかったせいです)、映画版では階級ごとの価値観の違いが非常にわかりやすくなっていた。「異文化の衝突」というテーマが、フォースターならではの上品さで饒舌に美しく描かれている。
ウィルコックス家の人々は、下層階級の人間と付き合うこと自体想像もしてないのでしょうね。会話の噛み合わなさがすごい。

激情家のヘレンの造形が素晴らしいので、一見そんな妹にメグ(マーガレット)が振り回されているかに見える。けれどやっぱりこの物語の主人公をメグだと感じるのは、ハワーズ・エンドが彼女を選ぶからなのだろう。