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イタズ 熊の一のレビュー・感想・評価

イタズ 熊(1987年製作の映画)
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同監督による西村晃主演『マタギ』の焼き直しみたいなものだが、『マタギ』が熊映画と思わせてかなりの部分で犬映画だったためか、今回は子熊カワイイムービーに振り切っている。その結果、マタギ犬は最初の狩猟パートであっさり熊に殺されてしまう(実際に殺されたようにしか見えないのだが真相は如何に)。愛犬家のすすり泣きと「カントク!今回はクマでいきましょ!子熊もカワイイから!客なんてカワイイ動物見てりゃ満足なんですよ!」というプロデューサーの囁きが聞こえてきそうではある(日テレと電通が製作に噛んでいる)。スローモーションで少年と戯れるクマちゃん、養蜂場に現れてハチミツを舐めてるうちに蜂の群れに襲われて転げ回るクマちゃん、台所でいたずらして白粉まみれになるクマちゃんなど、サービスシーンたっぷり。がしかし、その可愛かった子熊が「人間の味を覚えた」巨大人喰い熊に変貌するという手に負えない残酷展開。自然舐めんなという監督のメッセージはしっかり伝わってくるが、文科省特選のお墨付きでこれを見せられる少年少女はどんな気持ちになるのだろうか。
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