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ドリアン・グレイの肖像のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

ドリアン・グレイの肖像(1945年製作の映画)
4.2
オスカー・ワイルド原作、何度もリメイクされているオリジナル。永遠の若さと引き換えに魂を売った純朴な美青年貴族が、闇を抱えていき、代わりに肖像画が醜く老いていく。

ホラーテイストのファンタジーが好みなので飛びついた。想像以上におもしろかった。

ストーリーの奇抜さだけでなく、会話やナレーションが知的で哲学的。原作に興味をそそられた。文学作品を読みたいと、最近とくに思っていて、本離れしているのを恥じていた。この映画から、オスカー・ワイルドの思想に触れたいと思った。調べると、多彩な才能を発揮する一方、扇動的な同性愛者であることから投獄され、出所後、失意の中、46歳で梅毒で亡くなっている。

セリフの端々が、「教訓」辞典みたいで、文章を読んでみたい、と思わされる。

時代が下がるが、近い背景のジャン・コクトーが手掛けたらどんなアレンジをしてどんな作品になったか、そんなことをつらつら思いながら、肖像画より、実際の主人公の絵画的な白い顔と表情に吸い込まれた。

葛藤する/しないで、別の結末にもなりそうなおもしろさであった。

この題材がいくつもリメイクを生み出す理由がわかる。

原作のきっかけは、日本の寺院の馬の絵(絵馬?)だとか。
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