かめの

誘惑のかめののレビュー・感想・評価

誘惑(1948年製作の映画)
4.5

やっぱり吉村作品、好き。

病弱な奥さん役が杉村春子……?まぁそういうこともあるのかと思っていたら、やはりいつもの杉村春子で安心した。また、無邪気に子どもたちと大縄跳びをする孝子(原節子)とその姿を恨めしそうに見つめる妻が交互に映るシークエンスがなんとも吉村作品らしくて良い。健康であることは、ただそれだけでそうでない誰かを深く傷つけてしまうのだ。

普通なら奥さんが亡くなったとて、すぐ一緒になるのは申し訳ない……となるところだけれど、そこを裏切ってくるから最高だ!

個人的に気になるのは、冒頭の題名下にGHQ関連の番号が出ていること。あからさまに切られていると分かるのは、同級生のタケダが警察に連れて行かれるシーン、田舎に帰ると話すシーンの二箇所のみだけれど、いったいどんな会話がなされていたのか。当時の脚本と比較すれば、正確なところが分かるのだろうけど。

映画『誘惑』。破れたストッキングを履く足、お風呂あがりの足、ダンスホールで矢島と踊る足、矢島に甘えて抱き上げられる足、繰り返し孝子(原節子)の足に焦点が当てられているのが印象的だった。
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