よねっきー

メメントのよねっきーのレビュー・感想・評価

メメント(2000年製作の映画)
4.6
「時系列が逆転してる映画」と「主人公が前行性健忘症の映画」が2000年以降作られてないのは、間違いなくこの映画のせいです。誰も『メメント』の脚本に挑戦したかないんですよ。「多分これが完成形だ」って誰もが思ってるから。

ノーラン監督って今じゃビッグバジェット映画の大御所だけど、彼がこの頃から天才だったのは疑いようのない事実だと思う。もう若手でも新人でもないのにチャゼルやドランと並んで嫉妬され嫌われまくっている彼がおれは大好きよ。『インターステラー』や『インセプション』のような派手な映像美はなしで、脚本一本勝負。頭フル回転で画面と対峙する感覚が好きな人におすすめ。

登場人物全員が信用ならない。バーで遠くに座ってるおっさんさえ信用ならない。このテーマが執拗なくらい描かれてんのは、記憶の頼りなさを表現したかったのかな?円環構造といい、序盤からやけにブカブカな主人公のスーツといい、細部が素晴らしく完成されてる。だけど細かすぎて伝わらない。全部スタッフの皆さんのおかげでした。ノーランの映画、食わず嫌いせずに見てみてね。
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