カザミ

メメントのカザミのネタバレレビュー・内容・結末

メメント(2000年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

難しいけれど面白かった。
カラーの映像は現在から過去へ。白黒の映像は過去から未来へ。それらが融合するところに「真実」がある。
犯人とおぼしき怪しい男を殺すところから始まるのがわりと衝撃的。
そうして眺めていると、はじめ胡散臭かった男はいがいと協力的なのでは……?といぶかしむことになり、協力者だと思っていた女は実は利用しようとしているだけでは……?とまた首を傾げることになる。
全く前情報を与えられず、出来事をただ見守るだけのわたしたちはまるで連続した記憶を失っているようで、構成がとても上手いなーと思った。
時系列がごちゃごちゃであり、主人公の主観に近い場所で物語が進むけれど主人公は全く信用できない語り部であり、登場人物の誰が真実を言って誰が嘘をついているのかもわからない。時系列入れ替えと嘘によって複雑な物語に作ってある。

最終的に「サミーの話は一体誰の身に起こった出来事なのか?」「テディの話はどこからどこまでが本当なのか?」といった確信はぼかされたまま。
主人公はこれからも彼が作り上げ忘れた犯人を追い続けるのかもしれないし、またはこの話ははじめから終わりまで虚構に過ぎず、「彼の語るサミー」のように精神病院の中で瞼の裏に写る犯人をずっと追いかけている妄想をしているのかもしれない。
色んな考え方ができて面白いけれど、結局は救われない、かなしい話でもあった。
カザミ

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