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恋空のsingerのレビュー・感想・評価

恋空(2007年製作の映画)
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かなり度の強い色眼鏡で観ました。
多分、いい歳して感動したり、共感出来るような映画ではないんだろうなと思ってましたが、
いい意味で裏切られて、わりと良かったですね。

それでも、やっぱり粗は目立ちました。
ストーリーも不幸のオンパレードで、そういう側面からでしかラストの感動を導き出せていなていない所や、
描写不足で、登場人物の感情の動きに不自然で強引な所があったように思います。

ストーリー展開も、これといって構成に光るものがあるわけでもないし、
悪く言ってしまうと、誰にでも書けそうな感じがしました。

でも、そこがこの作品の普遍性に繋がっているのかなと。

誰もが初恋で描いたであろう、「君こそが全て」な感じは、よく表れていたと思う。
そういうのは、今の自分にとってはリアルに感じるものではなくて、
「ああ、こんな風に思ったこともあるなぁ」と懐かしく思うような感情。
そういう気持ちを残すような作品でしたね。

初恋の情熱は、それが永遠に続くように、その時は思うものなのかも知れませんが、
色んな事情が重なって、不意に終わってしまったり、忘れていってしまったり。

そういう思いを過去に残している人。
そして、その思いの真っただ中にいる若い世代の共感を得たのが、この作品なのかなぁと。

わりと、根底にあるものは、とても普通の恋愛模様なのかなと思いました。

キャストに関しては、特に触れる所もないですね。
唯一、小出恵介だけが、役者に見えてしまって残念だったくらい。
新垣結衣は「恋するマドリ」の方が自然で良かった気がしましたが、
演技派の女優に美嘉役をやらせても違和感はあるだろうし、
彼女のように、まだ余白のある女優さんが演じたのは正解だったのかなと。
それは、三浦春馬も同様。
表情や佇まいに凛とした所があって、存在感のある役者だと思いました。

意外と自分のように、色眼鏡で見ているような人の方が楽しめるかも知れません。
原作を読んでいると、想像とのギャップや描写不足に違和感があるだろうし。

個人的に良かったのは、最初の30分位。
その辺りの無垢な幸福感が良かっただけに、上塗りされてく不幸には少しウンザリな気もしましたね。
わざわざ描かなくても良い所もあったし、もう少し主人公二人の何気ない幸せを見ていたかったようにも思いました。
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🎦こちらは、2008年5月2日にブログに投稿したレビューです。

「恋空」で初めて、彼の演技を見た時は、「また、チャラチャラした俳優が出てきたなぁ」と、あまり良い印象を持たなかったんですが、翌年の「奈緒子」では、端正なルックスに爽やかな笑顔が素敵な俳優さんだなぁと思い直したのをよく覚えています。
ここ最近の作品では、「銀魂2」ではカッコ良いヒール役が凄く作品に合っていたし、
「SUNNY」では、DJ WATARUという90年代らしいイケメン像を絶妙なダサカッコ良さで演じられていました。
「こんな夜更けにバナナかよ」では、二枚目というより、むしろ三枚目的なポジションで味わいのある演技を見せてくれたし、「コンフィデンスマンJP」でも、ただカッコ良いだけじゃなく、お茶目でコミカルな一面が愛おしいジェシーというハマり役を演じられていたのも印象的でした。
今泉力哉監督の「アイネクライネナハトムジーク」は、久々の主演作。
ちょっとクセがありつつも、等身大の青年役を演じられていて、とても自然にキャラクターに寄り添うような、そんなアプローチを感じられたし、クシャッとした素敵な笑顔の向こうに、俳優として重ねたキャリアを感じられて、これからも映画界で沢山の活躍をされるんだろうなと楽しみにしていただけあって、今回の訃報はとても悲しくて、やり切れない思いでいっぱいです。
数々の映画作品を通じて、沢山の思い出を残してくれた、俳優・三浦春馬さんに心から感謝すると共に、心よりご冥福をお祈り致します。
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