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変な家のsingerのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.1
「うんうん、確かにヘンだわ、それ!」
…って言う、ある家の間取り図から、その異変の謎を追っていくというストーリー。
物語の導入は、本当に簡潔でわかりやすいので、スムーズにグイグイとストーリーに引き込まれていく感じはあって、途中の演出も、とても怖くて、下手なホラー映画よりも良く出てるなぁと思いつつ、最後までハラハラドキドキ。

でも、結局、どんどんと謎を突き詰めて行くと、もうジャパニーズ・ホラーではド定番の貞子・伽耶子ルートに入って行って、そこから物語も突然、突拍子も無い方向に行ってしまったので、その着地点としては微妙な印象になってしまいました。

「結局、それかよ〜」っていうのが、正直な感想ですね。
どうも、こうオカルトな方向に持ってくのが、物語としては安易な気がしてしまったし、その部分に、もっと現実味や、人間の怖さみたいなのを描けていたら、もっともっと怖い作品になったんじゃないかなぁと、その点だけが惜しかったですね。

そして、佐藤二郎の演技。
彼がもう、物凄い演技力のある俳優さんだというのは、十分過ぎる程、わかってはいて、
今作では、だいぶ抑え目にはなってはいたけど、それでも佐藤二郎色が自然に滲み出てしまっているというか。
なので、もう至って普通っていう感じの方にアプローチしてった方が、よりリアリティが増したんじゃないかなぁという、そんな感じはしました。
いやぁ、ここは凄い難しいトコではあるとは思うので、これは自分が率直に思った所。
でも、自分が監督だったら、ついつい佐藤二郎色を出したくなってしまうのかも知れないなぁとか、そんな風にも思うし。

逆に、間宮祥太朗は、わりと雰囲気がいい意味で消えていて、
物語に溶け込みつつ、その当事者感が感じられたのは良かったです。
いいストーリーのリード役として機能しているなぁと思いつつ、その動きを追っていく事が出来ました。

川栄李奈は、1番、変化のある役柄ではあったけど、やっぱり見せ方がとても上手いなぁと思いました。もう、実力派って呼んでも過言じゃないくらい、演技に安定感もあるし、ラストで見せる表情も、とても良かったと思いました。

色々と惜しい点があって、後半の展開には微妙な部分もあったけど、
最近観た映画の中では、下手なホラー映画よりも怖かったシーンもあって、そういう意味では見応えはあったなぁと思います。
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