トランスマスター

天国と地獄のトランスマスターのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
4.0
♯129ハイ閉店!ガラガラガラ

舞台は60年代の神奈川県
前半の主人公は、ナショナルシューズの
権藤金吾専務取締役
後半の主人公は、熱血漢の戸倉警部

権藤は全財産の5,000万円を自宅を抵当に入れて借り入れた金で自社株を買い占め経営権を握ろうとしているところに、息子が誘拐されたという電話がかかってきます。しかし、実際には権藤の息子ではなく運転手青木の息子が誘拐されたのでした。
権藤邸での犯人との交渉劇、明日に迫る自社株を買い付け期限。身代金を出してくれとせがむ青木の土下座。それを見守る神奈川県警の捜査員達。前半パートは密室の中で葛藤する権藤の苦悩が描かれています。

後半パートは国鉄特急こだまでの捜査や、ゴーゴーバーや黄金町のドヤ街、捜査本部や記者クラブでの世論操作など見所盛りだくさんです。
戸倉警部のスマートな身のこなしや、的確な指揮はまるでエリートFBI捜査官です。

◆良い点/注目ポイント
・劇中の日本車が50年代のアメ車の外観でカッコ良いです。
・米兵なども集うゴーゴーバーのウェイトレスさんの衣装は、白い割烹着。黄金町の阿片窟もかなり含めて60年代の日本はカオスです。
・鞄に仕掛けた燃やすとピンク色の煙が出る仕掛けは、世界的な巨匠にも影響を与えています。

◆改善点
・無し。

◆総括
・製作から60年が経っても、黒澤映画の魅力は色あせません。サスペンス映画のファンはもちろん、黒澤明監督映画を見た事が無い方にオススメです。

-2023年129本目-