かず

聴こえてる、ふりをしただけのかずのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

すごく良かった。観て良かった。
とても普遍的な話。
大切な人を亡くした経験のある人なら、感情移入せずにはいられない。

突然大切な母親を亡くしてしまった主人公である娘の喪失感や悲しみの蓄積、そして不条理な死を受け入れるまでのプロセスが、非常に的確かつ丁寧に描かれている。その描き方が巧い。
周りに当たり散らさず、自分の中でなんとか消化しようとする主人公の姿が、見ていて辛い。そりゃ幽霊も信じたくなるよ。。

お父さんの壊れ方も丁寧で巧い。
人間って、突然壊れることはなくて、自分では気付かないうちに徐々に徐々に壊れていってしまうものなんですよね。。

郵便受けに溜まる新聞。エプロン。椅子の背もたれに溜まる埃。伸びて顔を覆う髪。枯れる植物。などなど、小道具の使い方も巧い。
少し説明的な箇所も見られるが、しかし、これほどの、セリフに頼らない映像による雄弁なストーリーテリンング力の高さは日本では稀有では?
主人公がこれほどセリフを発しないのも珍しいと思う。

今泉力也監督の奥さんなのね。夫婦そろって才能の塊かよ。。。
かず

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