かず

ポゼッサーのかずのネタバレレビュー・内容・結末

ポゼッサー(2020年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

『#ポゼッサー /#POSSESSOR』
テクノロジーによる身体性の変容。自己と他者の境界が曖昧になるサイコスリラーだが、次第に主軸はジェンダーに。棒状の凶器で刺す(メタファー)ことに拘り、良き妻や母を演じる練習をする主人公が、ラストに性自認と性役割、偽りの自己から解放される様は恐ろしくも爽快。



ネタバレ


主人公は女性。仕事以外、私生活でも、常に演じている。
家族のもとに帰る前、母を演じるために第一声を練習する。
夫とセックスする時には、感じている妻を演じる。

銃で殺すよう指示されたにも関わらず、ターゲット(男性)を殺すときはナイフなどで刺殺する。セックスのメタファー。

事件は、主人公が男性に入り込んだ時に起こる。
男性と主人公の境界が溶融する。自己と他者の境界だけでなく、ジェンダーの境界さえもなくなる。

夫と子供を殺す。だが、悲しむことはない。母親や妻を演じる必要がなくなり、解放されたのだ。女性としてのジェンダーロールからの解放。
主人公の性自認は、女性ではなかったのかもしれない。

肉体の感覚、質感を確かめるようなグロ描写が印象的。
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