このレビューはネタバレを含みます
社会性と面白さとクオリティのバランスがとれた傑作。
数多のマイクロアグレッションや日本の難民の現状が酷すぎるが、青春恋愛もので笑える場面も多くてびっくり。
ロミオとジュリエット的な王道の叶わぬ恋の展開になるが、恋愛を引き裂くのが入管という斬新さ。
「橋」のモチーフも◎。
会計を瞬時に暗算する藤井隆、よかった。俳優陣が豪華なのにも驚いた。
撮影が良いなと思ったら、撮影監督は「ドライブマイカー」や「人数の町」の四宮秀俊さん。
日本社会に溶け込むために、ヘアアイロンで髪質を隠し、出自を偽り、私生活も友達に明かせない。
ジェンダーや人種などアイデンティティを偽ると、自分が何者かわからなくなり、どんどん実存的不安が増す。嘘をつくと、他人も信用できなくなる。そうして心を閉ざしてしまう。
エンドクレジットの「名前を出せないけれど協力してくれたクルド人の方々」で涙腺やばかった。
こういう人種差別が頻発する原因は、「我関せず」の姿勢を貫く日本国民の無関心である。