かず

コロンバスのかずのネタバレレビュー・内容・結末

コロンバス(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

コロンバス

フィックスの撮影、プロダクションデザイン、そして街の建築物が非常に美しい。
物語を追わなくとも、映像を観るだけでも一見の価値がある。

主人公2人は、性別も年齢もルーツも、何もかも属性が異なる非対称な人物だが、一点、共通点が見えてくる。それは、親との関係に何かを抱えていることである。

男は、建築ばかりの父親に何も与えられず興味を持たれず育ったせいで、父親とは疎遠。

女は、一緒に暮らし愛してはいるが定期的にぶり返す麻薬依存で働き詰めの母親から、ある種、興味を持たれていない。

男の父親が倒れ、男がコロンバスに来るところから話は始まる。
女は街の図書館で非正規の図書館員をしている。母親と二人暮らし。変わり映えのない平穏な毎日。母親が男に捨てられ麻薬依存に走りニグレクト状態の時、建築の素晴らしさに出会う。それ以来、建築が好きになった。好きな建築家から、大学にも誘われた。しかし、麻薬依存の母親が心配で、母親を残して街を出ることができない。母親が心配である以上に、母親にまた捨てられるのではと恐怖しているようにも見える。

親との関係に問題を抱える2人が、互いの問題を話し合うことで、折り合いをつけていく。

親との関係は、必ずしも良好である必要はない。
親に無償の愛を感じる必要はないし、親に将来を潰されてはならない。


劇的なことは何も起こらない。ずっと静かで美しい詩的な物語だが、美しい撮影と美術と建築物により、心に染み渡る。
かず

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