わたP

フーリガンのわたPのレビュー・感想・評価

フーリガン(2005年製作の映画)
2.5
僕は時計じかけのオレンジやトレインスポッティングやさらば青春の光のようなイギリスの不良モノが大好きで、さらにイングランドプレミアリーグも大好きなので、こんな素晴らしい取り合わせあるか?これもしかしたらオールタイム・ベスト級いっちゃうんじゃないのか?ぐらいに期待していた俺。ごめんな、全然違うわ。一人称変わっちゃうくらい違うわ。

ハーバード大で報道を学んでいたものの、ルームメイトの卑怯な仕打ちで退学になるアメリカ人が、姉のいるイギリスに渡って所謂フーリガン(彼らは自分達のことをファームと呼びます)に魅了されていくという物語。主人公はロード・オブ・ザ・リングのイライジャウッドです。
姉の旦那の弟であるピートが、そのファームGESのリーダー格で、彼との友情物語でもあり。主人公が男の生き方を学んでいく物語でもあり、とにかく、かっこ良い男とは、みたいな映画で、正直言って求めていたのはこれじゃない。
ピートや少佐など登場人物は一本筋の通った良い奴らで、違うんだ、俺の好きなのはもっとくだらないクズの話なんだ、とだんだんとトーンダウンしてしまう。

結末も、卑怯な手を使うやつには勇気を持って立ち向かおう。ぐらいにしか言っていない気がして、違う。そういうんじゃないんだよ!こういうその中でもちゃんとしてるやつじゃなくて、自分がほんとうにこれをしたいのかもわからずにそれに飲み込まれてしまったりしてる、どうしようもないやつらの話が好きなのに!終盤の乱闘シーンとか最早クローズのようで、あーはいはい、そこで自分を犠牲にして守るのかっこ良いですねはいはい、あー男らしい男らしい。と冷めてしまう始末。
そして、あそこでごちゃごちゃしてるシャノンがめちゃめちゃウザい。

こっからは別に知らなくても映画が楽しめるけど一応言う、ちなみにの話。
主人公たちが応援するウエストハムというチームは、ロンドンにあって、イングランドのリーグで1部には所属する、万年中位くらいのまあ渋いチームです。同じロンドンでもアーセナルやチェルシーやトッテナムのように上位争いをするような戦力は無いけれど、某監督に19世紀のフットボールと揶揄されるような、パワフルで荒削りで戦術的でないサッカーが昔ながらのイングランドのフットボールファンに人気があります。サッカーの戦術というのは段々進化しているのですが、ゴール前にボールを放り込むだけの昔のようなサッカーをウエストハムはやっているんですね。それから近年は育成が上手くて、ウエストハムでデビューしたり育った選手が成長してイングランド代表になるというのも多いです。そしてそのファンもロンドンの下町の訛りのきつい地域の人達が多くて、独特の雰囲気を持ってるクラブなんです。まあ僕そこと真逆のアーセナルファンですが。
で、イングランドに限ったことでは無いですが、ヨーロッパのサッカーというのはライバル関係にあるチームが大体存在して、まあ阪神巨人戦みたいなものです。この映画で描かれてるようにウエストハムなら、ミルウォールというチームとライバル関係にあります。
映画中にカップ戦の組み合わせに皆が注目して盛り上がるというシーンがあるんですけど、なんであんなに盛り上がるかというと、ウエストハムはプレミアリーグの1部にいて、ミルウォールはほとんど2部とかその下にいるんですね。なのでライバル関係にあってもリーグ戦で当たることは無いわけです。対戦しないとファーム同士の喧嘩も出来ないですからね。
ただ、毎年FAカップというイングランドのフットボール協会がやってるカップ戦があって、そこは協会に加盟してるチーム全部が頂点を目指すわけです。その一回戦の抽選なので、ミルウォールと当たる可能性があるからあんなに皆注目していたわけです。ミルウォールはそういう弱小クラブなので、一回戦じゃないと敗退してしまうのが濃厚ですから。

というちなみに、な話でした。
そっちのほうが長くなってしまった。だって映画自体は好みじゃなかったんだものーーーーー。
あ、もう一個ちなみに今シーズンウエストハムは新加入の選手なんかが絶好調で、古臭いフットボールからとも言われずに現在6位で健闘しています!
わたP

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