ジャン黒糖

RENT/レントのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

RENT/レント(2005年製作の映画)
3.1
ミュージカル作曲家・脚本家のジョナサン・ラーソンの代表作である同名舞台を、『ホーム・アローン』『ハリーポッター』などで知られるクリス・コロンバス監督が映画化!

【物語】
映画監督を目指すマークとシンガーソングライターのロジャーは貧しくも、互いに憧れの夢に向けてルームシェアをしていたが、ある日旧友で大家のベニーから家賃(Rent)がこれ以上支払えなければ立ち退き等を検討する、と要求されてしまう。
ロジャーは同じマンションに暮らすミミと恋に落ちるが、彼女は薬物をやめることが出来ずにいた。
元ルームメイトのトムはエンジェルと出会い、恋に落ちるが、互いにHIVポジティブであることを知る。
一方、マークの元恋人でバンドをやっているモーリーンは奔放な暮らしをしてきたが、いまの恋人であるジョアンヌと、互いの考え方の違いで衝突が絶えなかった。
HIVポジティブ、同性愛、薬物依存など、社会で”真っ当”に生きるのが困難な彼らは果たして…。

【感想】
2018年の日本公演を観たとき、オープニング曲「Seasons of Love」に心掴まれ、いまだにアルバム単位で聞くことの多い本作。
映画の存在こそ知っていたけどあまり評判がよろしくなく、ついつい観るのを敬遠していた本作。
ただ、Netflixで配信された『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』鑑賞に向けて、いよいよこれは観ないと、と思い、同じくNetflixにて鑑賞!

まぁたしかに微妙な評判も納得というか、特に中盤は話のダレ具合がすごく、ちょっと退屈してしまった。
また、HIVに関して学校で習った以上の知識があまりない自分としては、主要登場人物の多くがHIVポジティブであるということ自体、そこに対する悲しさがあまり飲み込みづらいというか。

HIVは母子感染や注射器の共有による血液を介した感染を除けば、主な感染経路は性行為を伴う。
そのため、性行為には避妊をはじめ互いのケアが何より大事になってくることが最低限求められる。
という、学校で習った知識以上にあまり詳しくない自分でもそれぐらいは認識しているものであるけれど、90年代のアメリカはまだそこまでHIVに対する認知が広がっていなかったのだろうか。
そこがむしろ「RENT」の時代背景をめぐる話として気になってしまった。

『tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!』を観ると、『RENT』がジョナサン・ラーソンの実人生、身の回りの出来事から想起された話であることがわかる。
ただ、だとしても1つのマンションにここまでHIVポジティブの人たちが集結した、さも感動げな話を観ると少し辟易してしまうのが正直なところ。

なので、舞台版を観たときもそうだけど、曲はいいんだけど、お話の時代感についていけない、というのがどうしても付きまとってしまい、たしかにこれは微妙な映画だった。
ジャン黒糖

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