ジャン黒糖

ゴーストバスターズ/フローズン・サマーのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

2.8
子供たちと一緒に観に行ってきましたー最新作!
原題は『Ghosubusters: Frozen Empire』
はっ!サマーちゃうんかい!笑

、という瑣末な部分でのノイズが劇中も目立ち、「公開時期もキャスティングももう決まってしまったなかで各現場はかなり皺寄せ喰らいながら作ったんだろうか…」と推量してしまうほど、作品としては支離滅裂に感じてしまった。。
(吹替版を観てきたけど、エンドロール後のMV?でまた気持ちの置き場所に困り、賛否の声が挙がるのもちょっとわかった…笑)

【物語】
前作から数年、フィービーたち一家と元高校教師のゲイリーはゴーストバスターズとしてニューヨークの街中をECTO-1で走り回る生活を送っていた。
しかし15歳のフィービーは年齢を理由に、ゴースト退治への参加を断られストレスは溜まる一方。
その頃、同じくニューヨークでカルトショップを営むレイのもとに、先祖から伝わる骨董品という謎のオーブを持ち込む男が現れ、霊気を測定しようとしたところ、オーブには強大な霊気が込められていた…。

【感想】
日本では『オッペンハイマー』と同日公開の本作。
Filmarksのトレンド上も、興収も今ひとつ勢いに欠けてしまう。。
まぁいま"サマー"じゃないしな笑

①子供たちは楽しんだ様子!
なぜか我が家の息子たち(3歳&5歳)はゴーストバスターズが大好きで、家にはECTO-1のオモチャがあり、Alexaに向かって一丁前に「ゴーストバスターズの曲かけてー!」と毎日頼むほど。笑

かたや作品に関しては、前作『〜アフターライフ』が子供たち的にはポッドキャストは好きだけど「ゴーストバスターズが全然出ないからつまんない」と低評価だったので、そこは今回観に行くにあたっての若干の不安材料ではあった。
ただ、2人ともポール・フェイグ版2016年の『ゴーストバスターズ』が1番好きで、特にケイト・マッキノンが演じるホルツマンが出る場面はほとんど爆笑してしまうほど好き過ぎるので(笑)、それなら前作よりアクション多めであろう本作も平気か、と思い、家族総出で観て参りました〜。


結果、子供たちはわりと楽しんでいた!
プロトンパックを使ったゴースト退治やサイレン音が特徴的なECTO-1での追跡、前作にも出たラジコン型ミニ車両やドローンなど、子供たちの年齢的にブッ刺さりまくるガジェットや乗り物にそりゃ興奮するわな。
すっかり大きくなったポッドキャストにちょっと戸惑いながらも笑うところ笑ってて、トーマスやクレしんなどのような声出しOKの子供向け映画ではないから、子供たちが反射的に声出すたびに「静かにっ…!」と鑑賞マナーに親が神経質になってしまった…笑

ただ、本作のヴィラン"ガラッカ"の登場には流石に3歳の次男、ビビって泣いてしまい母と一時退場。
こうなるかもと思い、通路側確保して良かった…。
5歳の長男は見猿聞か猿を駆使しながらなんやかんや最後まで観ていた笑

ただ、観終わって家に帰ると子供たち、映画のワンシーンを興奮気味にモノマネしてはオモチャのECTO-1を走らせていたので、トータルとしては2人とも大満足だったのかなと。良かった!





で、ここからはおっさんの長文感想です笑
※ネタバレ含みます


②新旧キャラ合流は「混ぜるな危険」
子供たちが本作を観て楽しんだ部分は一定理解できる。
けど、自分は本作が娯楽シリーズであることを大目に見ても正直あまり楽しめなかった…。
なにせ、要素が多過ぎて物語が支離滅裂過ぎた。

ジュラシック・ワールドシリーズやスター・ウォーズ レイ続三部作(ep7〜9)などをはじめとする、新旧シリーズキャストを一つの作品に合流させて展開される物語構造は正直自分のなかでは「混ぜるな危険」でそもそもあまり好ましくも思っていなかったけど、本作を観てより強固に感じた。

たしかに、新旧同士の関係性で物語を進めようとする本作の姿勢は、それが上手く機能しているかは一旦さておき良かったポイントだったなと思った。
『ジュラシックワールド/新たなる支配者』はそこにさえ至ることなく、新旧キャラそれぞれで別行動が続く展開にゲンナリした笑

本作の場合、レイとポッドキャストの絡みは観ていて楽しかった。あのYouTubeチャンネル、絶対楽しいでしょ笑
ニューヨークの街中をフィービーたちが乗るECTO-1が走り抜けるサイレン音を背中越しに聞いて哀愁と嬉しさの混ざる表情を浮かべるレイも良かった。

あと、前作でも驚いたけど、やっぱマッケンナ・グレイス演じるフィービーは最高!!
本作もしっかりイゴンの名残りを感じる、まじで似てる!!
彼女とレイも、師弟関係らしさが芽生えてきてて良かった!


ただ、良かったのはそれくらい…?
本作、ただでさえ新旧シリーズだけで登場キャラが多過ぎる。
旧シリーズからはレイ、ピーター、ウィンストン、ジャニーン、他懐かしさのサプライズキャラたち!
新シリーズからはフィービー、兄トレヴァー、母キャリー、元教師ゲイリー、同級生ポッドキャスト、ラッキー。
そこに加えて本作からの新キャラ、今回の騒動のきっかけとなるナディーム、フィービーと交流するゴーストのメロディ。

『ジュラシックワールド』『スターウォーズ』はまだ大雑把に見れば新旧2世代の話、ではあった。
ただ、本作はフィービーたち新世代と、彼女たちを精神的に支えようとするも悩みの絶えない親世代と、まだまた動けるぜ!と頑張る旧シリーズメンバー、と3世代の話が展開され要素が多過ぎる。

フィービー&トレヴァーの成長、経験豊富な旧メンバーの活躍、フィービーとの接し方に悩むゲイリー、暗に世代交代を勧めるウィンストンとそれに争うレイ、メインヴィランである"ガラッカ"登場に関わるナディーム、フィービーとメロディの交流、etc…。
キャラ同士の処理しないといけない関係性が多過ぎて、物語があっちこっち行く。

なんなら、これら本作に限らずこういう旧作ファンへの目配せ的な演出のあるシリーズが今後また現れたとしても、もうそれは期待感としてプラスに働くことは無いだろうな、とさえ思ってしまった。
唯一昔のキャラ再登場でテンションアガるのはゴジラのいるモンスターバースくらいですよ!笑


結果、物語を前作のオクラホマからニューヨークに移すことで無理矢理でも存在理由が必要になったラッキーやポッドキャストはお粗末な扱いとなり、なんならキャリーやトレヴァーすら居なくても成立する話だとさえ思った!
ジャニーンとか、別にいなくても全然良かったよね?!笑
ピーターはお馴染み消防署にお酒隠してたギャグは良かったけど、見所は本当それだけ!話としてはいらない!笑
(勿論、みんなキャラとしては好きだけどね!)



③ツッコミ所満載!というよりは単に説明不足な気が…

ラッキー&ポッドキャスト、キャリー&トレヴァーは居なくても成立した。
じゃあ、1.旧シリーズメンバーのいるニューヨークという舞台、2.ナディームが持ち込んだオーブというキーアイテム、3.フィービーの成長 という3要素に絞って、そこに絡まない登場キャラ自体をオミットしたら本作面白くなったのかというとそこも微妙。
(※感想の最後に、一応自分がもし本作の脚本を書くとしたら…って妄想を載せておきます!笑)


というのも、アイヴァン・ライトマン監督版やポール・フェイグ監督版ゴーストバスターズに共通した「観客からのツッコミありきの絶妙にシュール&露悪的なコメディセンス!」という演出ゆえのツッコミ所というよりは、シンプルに説明不足な演出が多く、そこがかなりモヤった。

たとえばまず、予告編にも流れたゴーストドラゴンがニューヨークで暴れる冒頭場面。

前作『〜アフターライフ』がアイヴァン・ライトマン監督の息子ジェイソン・ライトマンだから出来た、シリーズとしてはちょっと異端だった作品構成に対するカウンターとして、「今回は最初っからゴーストバスターズ活躍するよー!!」という景気の良い気概をたしかにこのオープニングは感じることが出来る。

でも、この冒頭から個人的には「あれ、、そもそもなんでこんなにニューヨークはゴースト退治が忙しいんだっけ…?」とちょっとモヤつきが始まってしまった。
前作でゴーストたちが実はわりと逃げてしまった…?だとしたらフィービーたちがいたオクラホマは大丈夫…?2,000km以上離れたニューヨークにわざわざゴーストたちみんな移動してきたってこと…?いやいやそもそも「ニューヨークには元からゴーストがいたんですよ」とかだとしたらレイはその存在をずっと無視してきたってこと…?ウィンストンが率いる機関がフィービーたちが来るまではずっと何をゴースト退治してたってこと…?でもフィービーたちはウィンストンの研究所の存在すら知らなかったよな…?


といった湧き出てくるギモンが激しいアクションと共に置きざりにされていく。笑
(もしかしたら劇中ウィンストンやレイから説明あったかもだけど記憶ないな…)

また、本作から登場するナディームはあのままだと全然キャラの掘り下げが足りず、彼の登場する場面は普通にスベってしまっていたように思う。
もはや何故彼が成長したのか、の理由がまったくわからなかったし、先祖代々保管してるというあの部屋、普通にマンションの一室じゃなかった…?笑
ってことは途中あの部屋ごと引越しとかを先祖はしたん…?笑


説明不足の極め付けは、ファイアマスターの一夜漬けレベルの力にさえちょっと押されちゃってたガラッカ。
あいつはあいつで問題で。笑

予告編で東海岸を覆う巨大な雲と、氷結したニューヨークにちょっとワクワクしていたのに実際の本編観るとその被害規模はイマイチ伝わってこず、ガラッカの出番は少なめ、直接対決も屋内ってスケール感出て来ないなぁ…笑

観終わった直後から「あれ、で、結局どうやってガラッカを倒したんだっけ?フィービーがプロトンパック加工したのは覚えてんだけど、最後はとりあえず力技だったような…」と思わず一緒に観に行った長男(5)に確認してしまう始末。笑

で、長男に聞いて思い出したけど、ガラッカを封じ込んだシリーズお馴染みのあのアイテム、あれ大丈夫…?
今回、メロディちゃんが引き起こした一件を踏まえると、ガラッカの退治方法は問題解決に全然なってなくない…?


というように、ひとつひとつのシーンは"面白げ"なのに、それらは単なる見せ場に留まり、一本の物語として繋げたとき微妙なモヤモヤが置いてかれる場面が本作、結構多かった笑
フィービーがラスト、ゲイリーにかける一言とか、さも"ハートウォーミングげ"がある場面なのにずっと母子家庭で育ってきたフィービーが求めてたのってそれだったんだっけ…?と妙にシコリが残る。


④自分なりの考察と、自分の妄想上の『フローズン・サマー』

なぜこんなにも支離滅裂な物語となってしまったのか。

たしかに、1989年の『ゴーストバスターズ2』もツッコミ所は満載だった。
ただ、2は1作目でヒットしたバスターズ4人+シガニー・ウィーバー演じるディナの組み合わせや実景に映されるゴーストたちの豪快さから生じるシニカル且つシュールなコメディ要素を拡張しようとして、結果その過剰さがやや空回りしていたり話運びとして回りくどくなった結果のツッコミ所だったように思う。

でも、本作の場合は、単に雑な印象を受けた。
これは自分なりの推察だけど、キャスティングが脚本の進捗に比例せず先に決まっていってしまったことが原因ではないかと思った。

コロナが終息しつつあった2021年末に公開された前作のヒットを受け2022年4月には続編決定、同年10月には主演マッケンナ・グレイス、同年12月にはフィン・ウルフハード、ポール・ラッド、キャリー・クーンのカムバックが決まり、同じく年内には脚本があがったという。
そして新キャストは翌2023年3月に決定のニュース。

続投、の方が決まりやすいのかな、とは思いつつ、肝心な続編の根幹をなす新キャラが後追いに決まり、シリーズキャラたちへの目配せありきの制作体制が結果、色々なピースを上手くはめ込めてなかったなぁと。






ということで、
こんなに盛り込んで支離滅裂なストーリーになるくらいなら、たとえばこんな続編だったらどうだろうかというアイデアを最後に書き残しておく。笑


◼️妄想した「こんなゴーストバスターズ続編だったら良かった」のあらすじ

前作から数年、フィービーはすっかり馴染んだ地元オクラホマで前作からまだ残っているゴースト退治を続けようとしていたが、年齢もあり母キャリーや兄トレヴァーと喧嘩してしまう。
結局フィービーは家族と仲直りすることなくゲイリーやポッドキャストと一緒に学校の部活イベントでニューヨークに行くのだが、その頃ニューヨークでは危険なゴースト、"ガラッカ"を納めたオーブをレイのもとに持ち込む男ナディームが現れ…。



っていう、モロにゴーストバスターズ版『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』的な、『ゴーストバスターズ:フィービー、ニューヨークに行く』はどうだろうか?!笑
次回は映画館で観なくてもいいかなぁ、とちょっと思ってしまった!
ソニーピクチャーズさん!ここ10年のフランチャイズは個人的にはあまり乗り切れず、正直ちょっと『バッドボーイズ』新作とか不安っす!笑
ジャン黒糖

ジャン黒糖