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アルゴ探検隊の大冒険のmitakosamaのレビュー・感想・評価

アルゴ探検隊の大冒険(1963年製作の映画)
4.2
ストップモーションアニメの歴史遺産。ハリーハウゼンの魅力が最も発揮された作品と言って良いのでは。

原作はギリシャ神話のアルゴナウタイ。イアソン(ジェイソン)がアルゴ船に乗り金羊毛を取りに行くという話だ。

アリスト王を倒しテッサリアの王になったペリアス。だが成長したアリスト王の息子ジェイソンに狙われることとなる。
ゼウスとヘラはジェーソンを応援する。何故神々がこ奴らに入れ込むのかは良くわからん。
神々の戯れで溺れたペリアスを助けたジェイソンは、コルキスにあるという金の羊毛を取りに行くという使命を得て、船を作り屈強な仲間を集め旅に出る。
ヘラクレスやヘイラスと共に、ペリアスの息子アカスタスも乗船。

この奇怪な船の冒険が非常に蠱惑的だ。
アルゴ船の船首にあるヘラの胸像は目が動くというギミック。これが実に良く出来ている。

そしてブロンズ島にてテイロスの動く巨大青銅像。予言者を救うために捉えたハーピー。コルキスの宝を守るヒュドラ。ヒュドラの歯から生まれた7体の骸骨騎士。
これらがハリーハウゼンにより生命が与えられたかのように動く。まさにアニメートの魔法。
ストップモーションアニメのちょっとカクカクした感じがまた絶妙に“異形”を感じさせるんだよね。青銅像のギクシャクさに大きさや質感を感じるし、青いハーピーの悪魔的な禍々しさよ…。ヒュドラの獰猛さ…骸骨騎士のゾンビ感…
今ならもっとリアルな動きのCGを作れるだろう。だが、このアナログの味わいがそのまま“人知の及ばない世界”を体感させてくれる。
これ、リアルタイムで情勢作品を見た人らはぶっ飛んだろうなぁ〜。

コルキスに行き、ジェイソンらは捕らわれる。アカスタスの裏切りもあるが、そもそもこの国の宝・金羊毛を貰おうって魂胆だからね。守るのは当たり前なのだが、なぜかコルキスの王が悪者のように描かれる。女王メディアの協力もありジェイソンは見事にミッションを成し遂げる。メディアもそれで良かったのか???

ギリシャ神話なんてそもそも理不尽なエピソードしか無いのは承知の上だが、それでも話としては変だ。ペリアスへの復讐は描かれないし。
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