浅野公喜

ミストの浅野公喜のレビュー・感想・評価

ミスト(2007年製作の映画)
3.8
スティーブン・キング好きで原作作品の中でも知名度が高い一つにもかかわらず、かなり前に友人からオチを教えてもらったことでずっと「寝かせていた」作品。監督はキングの感動系「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・タラボンですが、元々「エルム街の悪夢3」「ブロブ/宇宙からの不明物体」といったホラー&SF作品の脚本も手掛けていただけに彼にとっては原点回帰と言えるかも。

何かと嫌な作品とも言われがちですがオチをある程度知って耐性や覚悟が出来ていたからか、そんな印象はそこまで。格調高いイメージだったのでB級ホラー風のチープなCGのクリーチャーが登場した時は拍子抜けしましたが、有名な宗教おば3はじめ一見知性が有りそうな黒人弁護士が意外と感情的になったりとパニック状態に陥ったことで暴かれる人間の本質を丁寧に描写、中盤には「綱引き」が有ったり女店員が巨大虫に吸われバナナマン日村3が物真似する子供時代の貴ノ花親方(あどでー)あるいは今のジュリー(ケンジ・サワダ)みたいな風貌になったりと同じ閉じ込められ型のキング原作・監督の「地獄のデビル・トラック」よりも緊張感が終盤まで持続しています(あれも個人的に大好きですが)。

主人公の子供の「怪物に僕を殺させないで」という台詞が伏線となる原作と違うというオチに関しては唐突に消える霧含めて違和感を覚えるものでしたが、<簡単に諦めてはいけない>というテーマ(メッセージ)を読み取れそうだと感じました。それは「ショーシャンク~」にも相通じるものですが、あちらが<継続的な努力が伴う諦めない精神>、がテーマだとしたらこちらは<(一通り行動したら)静観する諦めない精神>がテーマかもしれません。ことわざで言えば<果報は寝て待て>が思い浮かびますが、英語ではこれに似たことわざが有るのか気になります。

ネガティブでポジティブを描いている・・と考えれば結構ユニークな作品とも言えそうですが、如何でしょうか。なんだかんだ観てて楽しめました。
浅野公喜

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