J四郎

ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃のJ四郎のレビュー・感想・評価

3.2
ゴジラシリーズもついに第10作目。
第1回「東宝チャンピオンまつり」のひとつとして公開されたらしい。
それは子供向け映画を数本まとめて公開する方式で、この後の時代にやってた東映まんがまつりみたいなもんかな?

なので完全に子供向けの内容になっている。
主題歌の怪獣マーチも子供向けで強烈な歌です。
新登場怪獣はガバラのみで、他にカマキラスやエビラなど多く出ているが過去作の映像の使いまわしだ。

主人公の一郎少年はヘナチョコ君で、よく絡んでくるガキ大将にいつもいじめられている。彼の両親は共働きで鍵っ子だ。
この辺も当時の社会問題を反映している。
今作は1969年で僕が生まれる少し前だが、この時代の小学生はほぼ同じ感覚なので観ていてスゴク懐かしい感じがした。
一郎少年は夢の中で怪獣を見るのが楽しみで、過去に活躍した怪獣が次々と出てくる・・。使いまわしだけどね。
しかし、人間の戦闘機を殺してるゴジラをみて万歳!ってあんた(笑)
そう、なんと今回の映画では現実世界にゴジラは全く出てこない!
この少年は夢の中にだけ居場所があるかのように現実逃避している。

今回はミニラが怪獣側の主役で、夢なので人間スケールのサイズで出てくるわしゃべるわで子供のお友達って感じです。
そこではいじめっ子を投影した怪獣ガバラがいつも襲ってくる。
ゴジラも出てくるが厳しい親父だ。ミニラが負けて泣きつくと、喧嘩に勝つまで帰ってくるんじゃねぇ!と蹴り倒す(笑)
今では乱暴に見えるかもしれんが、僕らの時代ではこんなオヤジが結構居ました。個人的にもこのミニラと同じ境遇で本当に鍛えられました。

この夢の中で立ち向かうミニラに自分を反映させ、主人公の少年は現実世界に立ち向かっていく。
ラストではそれまで拒絶していた現実世界に自ら飛び込んでいくような感じにもみえる。
この映画は子供の頃はゴジラシリーズでは一番嫌いな作品だった。確かに特撮シーンは手抜きもいいとこだ。だが改めてみると意外とドラマ部分はよく出来ている。

一郎少年がお世話になってるおじさんを天本英世が好演している。
この人は仮面ライダーの死神博士が有名でほとんど悪役のイメージしか無かったけど普通のおじさん役は珍しいかも?

この映画は人によってはシリーズワーストに選んでもおかしくない作品で評判は悪いです。でも、僕みたいなオッサン世代には懐かしい感覚で観れるので憎めない作品です。逆に言えば今の子供向けじゃないかも?
J四郎

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