こんなことがあって良いのか…
1974年に起きた、200人以上の死傷者を出したロンドンでの爆破テロ事件。これによりテロ防止法が制定され、犯人逮捕に焦る警察は無実の6人の逮捕・起訴をする。
裁判で有罪となったアイルランド人のジェリー・コンロンとその父親の無実を証明するための長い闘いを描いた作品。
ジェリー・コンロン自身の回想記『Proved Innocent』が原作になっている。
英国の司法界史上最大の汚点とされるバーミンガム・パブ爆破事件。
証拠もなくアリバイも証人も居ながら、卑劣な取り調べにより犯人に仕立て上げられたジェリー・コンロンら4人の若者たち。
当時のアイルランドとイギリスの関係性によるところが大きいのだろうが、理不尽過ぎる警察と裁判所にとにかく胸糞悪くなる。
特に警察は途中で無実が分かっていながら、ひたすら彼らを犯人に仕立て上げようとすらところは異常としか思えない。
一方で、終盤までの主人公にもイラッとするところも…。
仕事もせずにヒッピーとなってフラフラ、挙げ句の果てに盗みもする。
裁判になっても友達とフザケている。
そして、刑務所ではドラッグに溺れる。
お前もっとしっかりしろよ!って言いたくなります。
ただ、自供書にサインしてしまうシーンは、警察が余りにも卑劣で、ダニエル・デイ=ルイスの演技も相まってとても胸が苦しくなる。
全体を通して胸糞悪くなる展開ですが、刑務所内で酷い扱いを受ける描写がなかったのは救い。
これで『告発』みたいな酷い仕打ちを親子で受けてたら怒りMAXで、リモコンをテレビにブチ当ててたかもしれません^^;
髪型や顔つきや目つきだけで、青年から中年を演じ分けたダニエル・デイ=ルイスはさすがの演技。
法と闘うと決めた時からの、表情の迫力が半端じゃないです。
実は今回のお目当てはエマ・トンプソン。
彼女を見たくての作品チョイス。
出番は少なかったが、個人的には満足度は高い。
ラストの裁判での力のこもった演技は素晴らしかった。
厳格な父親を演じたピート・ポスルスウェイトもお見事。
『ユージュアル・サスペクツ』で弁護士のコバヤシを演じた味のある役者さんでしたが、すでに他界しており64歳の若さで亡くなられていたのは残念です。
今作品ではダニエル・デイ=ルイスと親子役でしたが、実際にはピートとダニエルは11歳しか違わないことにビックリですΣ(゚Д゚)
塀の中という悲惨な環境で、初めて心を通わせあった親子。
そして父の意思を継いで闘うと決めジェリー・コンロンの決意。
ラストの法廷シーンからのエンディングは胸熱で素晴らしい。
133分と長めですが全くダレることなく、最後まで釘付けになる見応えのある作品です。
おまけ
⚠この先ややネタバレです⚠
ラストでやっと溜飲を下げられたと思ったら…
今回の事件をでっち上げた警察は全員無罪の字幕が…
ああ〜っ、スカッと気分は一瞬で、結局モヤっとしたまま終わったよー😱