キャサリン・ビグローが1990年に撮った映画なんですけど、『ハートブルー』の片鱗が見える！だけどたった一年後の『ハートブルー』では、飛躍的にスタイリッシュになっていて、一年でこんなに垢抜けるんだ！とビックリしました。
ストーリーは、メーガン・ターナー（ジェイミー・リー・カーティス）がポリス・アカデミーで訓練し、卒業するところから始まります。警官のユニフォームを着てるメーガンをみんな、「うわ〜すごい！」みたいに言ってて、この頃女性警官ってまだまだ珍しかったんだと思わせる。
親友のトレーシーは結婚して子供もいるのに、警官になったメーガンは、男と知り合っても「仕事はコップなの」と言うと男が引く、というシーンがあったり、お父さんは「娘が警官になるなんて」みたいな感じで、「時代は変わったなあ〜」と感慨深い。
この初々しいメーガンが、『ハートブルー』のキアヌとすごいかぶる。新卒のバリバリルーキー。
でも『ハートブルー』を彷彿とさせたのはここまでで、この後は古臭い、70〜80年代の、雑〜なアクション・スリラーの体になってくる（笑）。
メーガンはコップになった初日にもうスーパーマーケットの強盗に出くわし、犯人を射殺してしまうのですが、犯人が持っていた拳銃を、そこに居合わせた客の1人だった男が盗んで立ち去ってしまう。犯人が武器を持っていたと証明できないので、メーガンは判断ミスを問われる。
一方、拳銃を盗んだ男はユージン・ハント（ロン・シルヴァー）という商品取引のトレーダーなのですが、拳銃を持つことで気が大きくなって、人殺しをしてしまう。どうも映画的には、ユージンは商品トレーダーとしてストレスを抱えている、つまりこんなウォール・ストリートで働いているヤツほどキレたらヤバい、みたいなことらしいのですが、「拳銃持ったからって急にこんななる？」って観ているときは思っちゃう。
ちなみにスーパー強盗をしているのがトム・サイズモアで、この映画がデビューなんですってね。メーガンに撃たれて、派手にスーパーのガラス張りをぶち破る役でした。
メーガンは5発くらい胸にぶち込んでて、「なんで5発も撃つんだよ」と思いました（笑）
それはいいとして、ユージンは自分の目の前で人を殺したメーガンに執着するようになり、偶然を装って出逢い、デートするようになる。
この関係がハラハラするんですけど、今だったら、ユージンが拳銃を盗んだ人だと観客にもわからないようにするよな〜って思った。最初から分かっていると、ユージンにデレデレしているメーガンがアホに見える。「こんなヤツに惚れるの？！」みたいな。
最初ラブラブだったのが、後で「ええ〜！！」って方が良かったなあ。
でユージンも、単なるサイコパスみたいなヤツだったらアレなんだけど、どうも44キャリバー・キラーと呼ばれていたサムの息子がモデルらしく、幻聴が聞こえるシーンとかあるんだけど、「え！何を言う！！俺は殺したくないんだ〜！」かなんか、一人芝居をしているのがちょっと笑っちゃう。
話の中盤で、メーガンがもうホルモンドクドクで「やっちゃうのか〜！！」って時に、ユージンが犯人だって分かるんだけど、証拠がないので立件できず、ニック・マン（クランシー・ブラウン）という刑事とパートナーになってユージンを見張るんだけど、今まで起こった事件の捜査を全然していないのが笑った。
「私を信じて！ユージンが犯人なのよ！」ってわーわー喚いてないで、何人も殺しているんだからそれらの事件を調べて、なにかユージンに関連する証拠が出てこないか調べればいいのに。なんつー雑な。
もちろん最後は、お決まりのユージンとメーガンの対決になるわけなのですが、その前に、メーガンは、パートナーになったニックと寝るんだよ！！
男興味ない風だったのに、なんだかやたらモテるなあ〜。
しかも、ユージンを追いかけてて取り逃がした後、メーガンのアパートにニックと帰って、いい雰囲気になってしまうのだが、バスルームにユージンが隠れているという。
でもユージンは、2人がセックスするのを止めるでもなく、朝になるまで待って、ニックがトイレに入ってきたところで撃ち殺し、すでに素っ裸になっていて、メーガンを襲うのですが、このレイプシーンがすごい生々しい！！
なんでここそんなに力入ってんの？とか、なんだろ、ベッドシーンも多いし、「警察官の女に萌える」映画なのだろうか。キャスリン・ビグロー、女性監督としてこんな映画撮りたかったのかな？もっと、女性が警官であることの大変さとか、女性蔑視されているからこそ自分を証明する！と頑張る映画にしたかったんだけど、当時の風潮で、こういう感じにさせられちゃったのかな。
こういう風にされちゃうから、この後の『ハートブルー』は男が主人公になったのかな？
