ある程度ループ化した生活に対する焦燥と安堵。どこか違う場所へ逃げ出したい欲求と見知った土地や人から離れることへの不安心。
前作「パーマネントバケーション」では新天地を求め船に乗りNYから離れるシーンで終わるが、今作は新天地へ行かずモーテルへ戻ってきてソファに座り幕が閉じる。
単純に「ブダペストやパリよりフロリダの方がいいわ」と捉えることもできるし、直前でビビって帰ってきたともとれる。深い意図を無理やり汲み取ろうとすると、新天地への憧れより今後の展開が想像できる環境に身を置くことで得られる安心感を選んだと解釈できなくもない。
「新しい所へ来たのに何もかも同じに見える」というエディの言葉が印象的で、一緒にいる人が同じならどこにいても変わらない、タイトル"stranger than paradise"を最も直接的に表現したセリフだと思う。"パラダイスよりも見知らぬ人"(直訳は違うけど)要は環境を変えることもいいが付き合う人を変えたほうがもっといいよ、と勝手に意訳する。
ただ、エヴァは見知った土地や人から離れることを拒んだ。一緒にいたいという気持ちが現実逃避よりも勝ったように思う。
繋ぎのブラックアウトが長く、ストーリーは繋がってるがワンシーン・ワンショットのオムニバスのような映画。