ごろちん

ひとつの歌のごろちんのレビュー・感想・評価

ひとつの歌(2011年製作の映画)
3.9
多くを語らないし、語ろうとしない映画。

タケシは街に出て感じるままにポラロイドカメラのシャッターを切る。ふと何気なく撮った1枚の写真。それはタケシにとって後々気になる1枚へと変化する。

雑踏、電車、蝉の鳴き声といった雑音が寡黙なタケシの胸の内をかき消すように存在感を出し、観ているこちらはタケシの心中を掴みきることが出来ない。でも、言葉遣いや振る舞いから人を大切に想う気持ちが伝わって来る。傷付いた心にそっと触れて癒そうとする優しさ。また後ろめたさ。

1枚の写真が繋いだ二人の関係。何かを感じて写し出した一瞬が別の人にとっては永遠になることもある。ただ、自ら行動を起こさない限り普段と何も変わることは無い。勇気を出して一歩踏み出し、心を開くことで奇跡が生まれる。

決して饒舌ではないものの、色々な音とともにいつまでも心に留まる作品でした。
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