ろく

SHAME シェイムのろくのレビュー・感想・評価

SHAME シェイム(2011年製作の映画)
3.8
映画観ているときに「自分のこと」を考えないで見るってことが出来るのかしらん。

このレビューで「自分はそんなことになるわけない」って恰も大上段で言うことが出来るし、さらには対岸の火事のように「世の中にはそんなこともあるんですねえ」ということもできる。でもそれは全部ウソだからな。

この話はセックス依存症の男の話だけど、実はセックスというより「射精依存症」なんだと思う。その証拠にセックスの一番大事なこと、「相手がいて成立する」ということが限りなく薄くなっている。

セックスなんて一番「楽しい」ことのはずなのに主役のファスベンダーの苦しそうなこと。射精しないといけない、そんな感じでトイレでも風呂で自慰行為をする。それは自分の中にある「毒」をあわてて出しているだけのようにまで見える。

そう依存症というのは決して幸せではないんだ。もはやただの苦しみ。酒、クスリ、ギャンブル、ケータイゲーム、ショッピング、そしてセックス。どれも当人は地獄のような苦しみでやっているのかもしれない。自分もそうだった、20代のころ。もはや酔眼のような感じで「それ」に依存していた。何かを言うのはなしだ。それくらいは秘密にさせてくれ。

それは現代の病だろうか。ただ丁寧にその病を見せてくれる。僕は時が解決したがそれでうまくいかない人も多いだろう。破滅がその先にある人も。この映画はそこは見せない。最後までわからない。最後のあのシーンは何だったんだ。そこにあるのはUターンか。また戻れないのか。

もし、自分がまだ「依存」の状態だったらそのシーンを観て苦しくて仕方なくなるだろう。過呼吸に。「たまたま」自分はそこから救われたからこの映画もそこそこ「観れる」。でもそれは「たまたま」なんだよ。
ろく

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