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SHAME シェイムのHIROのレビュー・感想・評価

SHAME シェイム(2011年製作の映画)
4.2
マイケル・ファスベンダー演じるセックス依存症の男ブランドンの家にキャリー・マリガン演じる妹シシーが転がり込んで来ることで彼の生活がおかしくなっていく様を描いたお話。

18禁でジャンルがエロティックということでかなり抵抗があったけど、「それでも夜は明ける」のスティーヴ・マックィーン監督作品ということで鑑賞。
かなり痛々しくて、悲しくて、重いお話だった。

ブランドンは仕事も充実して、いい家に住んで、イケメンで、かなりいい生活を送っていた。
しかも、ベビーカーを押してる女の人のためにドアを開けてあげたりして人柄もいい。
誰が見ても恵まれている人間。
それなのに普段の生活ではなぜか生きた心地がないというか、あまり人間らしくないというか、全体的に虚しさが漂っていた。
そんな彼が生きてることを1番感じるのはセックスの時だけ。
でも、なんだか快楽を求めている感じではなかった。
彼は「性」に依存しているというより「生」に依存していたのかもしれない。
セックスで満たされようとしているのだけど、セックスしている時の顔は満たされているというより、悲壮感が漂っていた。
セックスすればするほど精神がボロボロになっていくよう。
彼の妹もまた精神が不安定で、恋人に極度に依存してしまう人間。

そんな2人はいつも孤独で愛に飢えていた。
説明は全くないけど、2人の幼少期には明らかにトラウマがあることを感じさせる。
親から虐待されて、2人で耐えて、助け合っているうちに肉体関係を結んでしまったのではないか。
それが原因で2人は何年も苦しんでいるのではないか。
そう感じさせる場面がいくつかあった。

ラストは解釈を観客に委ねる作りになっていた。
いい方向に行くと信じたい。

また、マイケル・ファスベンダー、キャリー・マリガンの演技は本当に素晴らしかった。
2人からは本当に痛々しさが滲みでていた。
あと、マイケル・ファスベンダーの衣装がどれもオシャレで、全部欲しいと思った>_<
キャリー・マリガンの衣装もオシャレだった!

とてもエロティックな映画を想像していたけど、芸術的で美しい作品だったと思う。
スティーヴ・マックィーンらしく長回しの連発で、ランニングシーンや、重要な会話シーン、セックスシーンは長回しが多用されていて、それをこなしてしまう2人は本当にすごいと思った。

セックスシーンは結構生々しいので、あまり人には勧めにくいけど、絶対観て損はない映画だと思う。
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