滝和也

SHAME シェイムの滝和也のレビュー・感想・評価

SHAME シェイム(2011年製作の映画)
3.6
誰も助けられない
2人だから…。
どうしても交わること
なき2人だから。

マイケル・ファスベンダー
キャリー・マリガン主演

「シェイム」

SEX依存症の兄ブランドン、強度の他者への依存症で自傷癖を持つ妹シシー。ある日妹が兄の家に転がり込むところから、2人の悲劇は始まる…。

「真面目であること」=「恥を知ること」 
これがこの作品の根幹にある気がする。兄ブランドンは確かに依存症であるが、それで人に迷惑をかけることはない。自ら、または他者の同意を得て、気を発散する…。しかも真面目さ故に迷惑をかけるのではと思う相手には自制が働く。

だが兄へも共依存する明け透けな妹。(これがメンヘラと言うのか…。)それを必死に遮らんとする兄の葛藤。ぼんやりと敢えて描かれているのは、それを受け入れることは恥知らずなことになるはずなのだ。つまり真面目さ故にすれ違うことが彼らの悲劇なのだ。

マイケル・ファスベンダーの熱演がよりリアルな人間、多かれ少なかれ人が持つ欲望と言う性(サガ)を描き出す。

監督スティーブ・マックイーンは固定カメラを重視した落ち着いたカメラワークで彼の演技を絞り出している。また情交シーンもオシャレに、ニューヨークの町並みも夜景を中心に美しく描き出している。そのため、不快感はなく、あっさりと楽しめる。

キャリーの演技もゴズリング主演のドライブでの可愛さ、白痴的な要素が相まって美しく、素晴らしい。

すれ違う兄妹の悲劇を描いた佳作ゆえ、語られているほどのエロさはないと思うので、是非一度ご覧ください…。

※ま、芯の部分が崩れたら、AVだわな…(笑)
滝和也

滝和也