しろみさかな

千年女優のしろみさかなのネタバレレビュー・内容・結末

千年女優(2001年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画を見た後に、なんとなく監督のことを調べました。そしたら最後のブログが出てきて、読んでいたらこの作品のことがなんとなく理解できたような気がしました。
この作品は今監督らしく、時間や追われる描写がありました。テンポもよく、現実世界と役者として演じている主人公の世界とが入り混じって、ビジュアル的にも面白い展開でした。作画もとても良く、色んな表情やアングル、繊細な動きがすごく良かったです。
調べていて分かったのが、今監督は北海道出身とのこと。主人公の恋する謎の男性は、地元が北海道とのことです。なるほど。わたしの勝手な憶測ですが、この謎の男性の容姿も髪が長くて、まるで監督のようで、監督自身なのではないかと思いました。わたし自身芸大を卒業して作品作りをしていました。やっぱり自分自身と作品って切っても切り離せない部分がありました。なので今監督も、もしかしたら自分自身を投影しているのではないかなぁと、勝手に思ったのです。
悲しいかな、映画では主人公の千代子は遺された人になっておりましたが、現実も今監督の奥様は遺された人になっています。まるで千代子と謎の男性は、監督と奥様のようになっています。今監督の作品達のように、現実と夢の世界が入り乱れるように、不思議とそうなってしまっているのが驚きでした…。監督が作った作品が、作品として勝手に歩き出して、しかも現実も巻き込むという…。なんとも恐ろしく驚きました。
かなり脱線してしまいました、映画の話に戻しますが、千代子は女優の道に進みました。色んな役を演じますが、気持ちはずっとおんなじ。強いポリシーを感じます。女優さんって全くの他人を演じなければいけない仕事。でも千代子はその真逆をいっている気がします。全ての役を自分に落とし込んでしまう…。それも才能かなと思いました。そして最後のセリフ。やっぱりそういう自分が好きなんですよね。私たちはどうしても鍵が開いたり、中身が何なのかが気になって見てしまう…。それは第三者だからなんですよね。でも主人公の千代子は、その中身ではなく、必死になって恋する自分自身が大切なのです…。(でもやっぱりわたしは鍵の中身が気になりました笑)
比較的大衆的に作った作品だなと思います。今監督の作品が苦手な方でも見やすい映画だと思いました。作品を見ることで監督の思いを知ることができます。作品の中で監督が生き続けていることを感じられました。是非ついでに監督の最後のブログも合わせて読んでいただきたいです。
しろみさかな

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