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チャーリーとチョコレート工場のKHのレビュー・感想・評価

3.4
年間ノルマ60本中、6作品目。
『チャーリーとチョコレート工場』初見で見させてもらいました。
この時期この季節ということもあり、比較的話題になったりもしてますが実は見たことがなく、また知人からの強いススメもあり、
この度デビューとなりました。
作中に登場する『ウォンカチョコレート』は多分どこかで食べたことがあったような、
そしてその味は兎に角めちゃくちゃに甘かったと記憶しております。
妻はもちろん娘も食べたことがないとのことですので、もしどこかで見つけた際には購入してみようと思います。

まずはネタバレなしの、率直な感想を語りたいと思います。


『非常に面白かったです。また、作品の内容的に、脳内偏差値を少し低めに設定していたので、事前に大きく期待することなもなく、子供向けの映画だろうと思っておりましたが、大人としても教訓として得られる部分も多々あり、是非子供と一緒に見たいなと感じました。まだ一度も見たことのない人がどれくらいいるのかはわかりませんが、
家族に受け継ぐべき良作と感じます。
また、個人的にはジョニーデップの扮装モノ作品はあまり好きではないのですが、
神経質な天才を見事に演じており、個人的にはもう少し猟奇的だと大好きになったかと思いますが、あくまでも子供にむけているので、そうはならないですが、とてもいいキャラクターでした。また、金のチケットを当てた子供達も全員がちょうど良くムカつくのも非常に興味が持てました。まるで七つの大罪のような子供達と、親のスケールはさすが海外だなと感じました。
非常におすすめします。』

作品を見るまでチャーリーというキャラクターはジョニーデップのことだと思っておりましたが、
全然違うことに最初のびっくりがありました。それぐらい全く知識がない超有名作品を見るのも久々な気がします。
本当になぜこの作品を通らずに生きてこれたのか不思議なくらいです。


ということで、ここからはネタバレを含む感想になりますので、まだ見てない方はここらで戻っていただくとして、


まず、物語の序盤。ウィリーウォンカから世界中に『金のチケット』が入ったチョコレートが販売されるところが最初にして最大の見どころと言っても過言ではなかったように思います。

個人的にはチャーリーが実際に金のチケットを手にした時が作中で一番感動しましたし、思わず泣きそうにもなりました。

しかしながら彼は、少し早めの誕生日プレゼントとして両親から贈られたチョコはチケットが入っておらず、
また、お爺さんから貰ったお金で買った物にもなく、
最終的に何故か拾ったお金で買ったチョコで当たるという展開には少し残念な気もしました。
これでは見た子供が、『拾った金でチョコを買ったら良いことがある』と感じてしまうのではないでしょうか?
ここは拾った金でチョコを買いたかったが、我慢して交番に届けたら、『君は偉いなー』とお巡りさんからお礼にチョコレートを貰うというような展開にした方が教訓的には良いと思います。もちろん日本の場合はですが、


また、作中にチャーリーとライバル関係として登場するその他のチケットを当てた子供達も、本来は非常に才能豊かな選ばれし者が、
欲しいものを得ようと大きな欲をかいたために天罰が訪れるという中盤のストーリーを見れば、

彼らには確かに他人より欲深い部分があるとは思うも、結果的に無欲の方が勝者となるは全くの別物であり、
現代を生きていく子供達には欲しいものがあればそれなりに努力をする事と、絶対に欲しいんだという執念みたいなものは持ってもらいたいなぁと感じました。

作品自体が貧しいが、誕生日に与えられたチョコレートを家族で分けるほど心の優しい子供が、結果的にウォンカの選考基準で勝ち残っただけであり、
子供の目線では本当の人生の教訓にしてはダメなような気もします。私の場合はですが、

しかし、彼ら子供達の親達はどうであろうか?
チャーリー家での父親は唯一の働き手にも関わらず薄給であり、またリストラをされています。子供や家族を食べさせていくのに、
歯磨き粉のキャップをちゃんと閉めるだけの仕事をやるよりはもっと色々やれるだけの体力は有り余ってるはずなので、すぐに転職するべきだと思います。

また、ドイツのオーガスタス君の母親はどうだろうか?彼は毎日チョコを食べており、かなりの巨漢である。また、工場でも静止を振り切り、チョコレートの川を飲む始末。彼をこのように育て上げたのは、毎日彼にチョコを買い与えた親であり、またその親に息子の食い意地をどうのという資格はないと感じます。

イギリスのベルーガの父親も同様に、幼少期から彼女に欲しいものをなんでも買い与えた為、非常に強欲なガキに育ち、『これが欲しい』という願いを叶えなければ、『なぜ手に入らないのか』と激昂してしまうほどになってしまう。我が家でも、娘の欲しいものを、先に買うのか、それとも何かを成した後に買うのかの議論をよくするのだが、これに関しては正解はないと思うし、結果的にこちらの方が良かったとか、間違ってたとかになるだけであり、
子供の数だけ選択肢があるように思う。日本は働いた対価として給料が送れて支払われるシステムが多いが、これを逆にしたら人はどうなるであろうか?
一生懸命働くか。それともサボるのかは、実際に統計を取らないとわからない永遠のテーマのように思います。

アメリカのマイクの父親は高校の教師を行なっているにもかかわらず、息子の話についていけず、また非常に気弱であり彼を御す事は随分前から出来ていないように思う。子供はわからないことを親や近くの大人に聞くのが当然だが、それらが納得できる回答でなかったり、忙しいからとはぐらかされたりすると、その大人にはもうほとんど何も聞かなくなる。その子供からは全く尊敬を得る事は出来ないとテレビか本で読んだ記憶もあるので、うちでは子供に躾をする際、
『何故ダメなのか?』と問われると、
『何故ダメだと思う?』と回答するようにしている。また、この場合時間のない家庭や、あまり意識のしていない親はこの質問に対して、『ダメと言ったらダメ』と回答してしまうそうだ。

しかしながら、同じアメリカのヴァイオレットはどうだろうか?
彼女はタイトルや勝利に非常に執着しており、自身も多くのトロフィーを獲得している。また彼女の母も多くの賞を取っているし、それを誇りとしている。
娘には必ず勝利に勝つという気持ちも、執念も、それによる努力も、勝つために必要な要素は多くあるように思う。
彼女はダメと言われたガムを食べただけだが、これではキャラクターと合わない気もしました。
私が得た教訓としては、大切な青春時代を、ディプロマ目当てに費やすのではなく、ほどほどに友人達との関係性を築いていって欲しい。もしくは、自分がそうであったために子供もそのようになって欲しいと育てるのもどうかなと感じる部分はありますが、
ヴァイオレットに関して言えば育成方法は基本成功しており、彼女が後にオリンピックの選手やなんかで金メダルを獲得しても基本的にはおかしくない。

とまぁ、色々と親として教訓にした部分はあるものの、子供達は基本的に悪い子はおらず、あくまでも親としてのあり方を問われているようなそんな作品だと感じました。
この場合、もし私が未婚の状態、或いは子供がいない状態で見ていたら結果は違ったのかもしれません。

ので、それぞれの楽しみ方ができるかと思います。非常に楽しめたのは間違いありません。オススメです。
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