YasujiOshiba

暗闇の殺意のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

暗闇の殺意(1986年製作の映画)
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N座の2。23-99。その1(23-98)はエットレ・スコラの『Permettete, Rocco Papaleo』(1971)。71年にしては前衛的でよかった。2本目にみたのがこれ。

Filmakas には「86年制作」とあるけど「83年」が正しいみたい。クラッシックで丁寧な作り。ラストもやられたという感じ。まさにイタリアのジャッロ。そのジャッロの劇伴に挑戦する作曲家が主人公。映画のなかの映画は「闇へと続く階段のある家」(La casa con la scala nel buio)で、その映画の劇伴を書く作曲家にスタジオとして提供された家もまた「闇へと続く」という話。

映画に音をいれる作曲家であり、音が重要な要素になるところは、ちょっとだけ『ミッドナイト・クロス』を思い出したけど、音はそこまで重要じゃなくて、フィクションとリアルの世界の交わりに焦点がしぼられてゆく。

ランベルト・バーヴァは『デモンズ』(1985)もそうだけど、劇中劇の構造がお好き。マリオ・バーヴァの息子というのもあるのかな。映画の世界で育ったことが関係しているのかもね。

美女たちが突然現れては消えてゆく。その謎を追うジャッロなんだけど、ミステリーの根底にあるのがホモフォビア。偶然にもスコラの『Permette? Rocco Papaleo』(1971)にも同じようなゲイカルチャーが登場(舞台はシカゴだけど)。

それにしてもシノさんに、ソアーヴェだったねと言われて、あっと気が付いた。あのラストに持ってゆく見せ方はおみごと。最後までドキドキさせてくれました。
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