イチロヲ

恐怖のロンドン塔のイチロヲのレビュー・感想・評価

恐怖のロンドン塔(1962年製作の映画)
3.5
王位を簒奪するべく犯罪行為に手を染めた公爵(ヴィンセント・プライス)が、殺された者たちの亡霊に取り憑かれてしまう。15世紀イングランド王リチャード三世を中心にした、因果応報の物語をアレンジしている、文芸ゴシック・ホラー。

「王様になりたーい」欲求に駆られた主人公が、ズル賢い妻と共謀して暗躍を開始。城内から不都合な人物を消し去り、周囲をYESマンで固めていくのだが、本人にしか見えない亡霊の問い掛けにより、罪悪感を与えられてしまう。

文芸映画としての格式が備わっているため、城に出入りする人物たちのコスチューム・プレイに惚れ惚れさせられる。主人公の犯罪行為に見世物的要素が含まれており、王妃への拷問がフェティッシュに描かれているところも素晴らしい。

中盤からは、幼い王子を庇護する反リチャード派の脱出劇が動き出す。何となく展開が分かっていても、純粋にドキドキ感を堪能することが可能。基本的にヴィンセント・プライスの一人舞台であり、彼の"役者力"に圧倒されっぱなしの鑑賞に浸ることができる。
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