イチロヲ

座頭市御用旅のイチロヲのレビュー・感想・評価

座頭市御用旅(1972年製作の映画)
4.0
遺児の父親を捜索するべく宿場町に辿り着いた座頭市が、母親殺しの嫌疑を掛けられてしまう。勝新太郎が盲目の侠客を演じている、人気時代劇シリーズの第23作目。

父親の捜索劇を根底にして、町を蹂躙する非道なヤクザ(三國連太郎)、借金の工面に奔走する遺児の父親(明石勤)、女郎屋に売られそうになる妹(大谷直子)の、各シークエンスが交錯していく。

困っている人の前を素通りすることができない市が、己の仁義をもとにした人助けを買って出る。しかし、仁義を貫けば貫くほど、勘違いとレッテル貼りの連鎖に落とされてしまう。いわば、不条理劇の典型パターン。

母親殺しの疑いが晴れていく過程にご都合主義が見られるけれども、座頭市の「スケープゴートを受け入れなくてはならない立場」が、スリリングかつドラマティックに描写されている。浪曲をバックにした殺陣もエクセレント。
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