旗本の若妻(吉行和子)を救出した座頭市が、その夫(仲代達矢)と女刺客(大原麗子)の板挟みに遭いながら、愛憎の渦に飲み込まれていく。勝新太郎が盲目の侠客を演じている、人気時代劇シリーズの第21作目。
勝新太郎が脚本に関わっているため、異色な仕上がりになっている。闇組織の刺客をなぎ倒しながら旅を続けるという、いつも通りのロードムービーだが、随所に刺激的な仕掛けが施されており、浴場での全裸殺陣など、ビックリ演出が連発する。
全盲の大親分(森雅之)が総べている闇組織、妻を寝取られたと勘違いしている仲代達矢、色仕掛けで市に近づく大原麗子、仁義に憧れている両性愛者のピーター。多様な境遇をもつ人間たちが、入れ替わり立ち替わり、エピソードを紡いでいく。
ドラマのクロスオーバー感覚がとても気持ちよく、含蓄のある台詞まわしが身震いするほどカッコいい。ちなみに、本作から勝プロ製作(ダイニチ配給)に完全移行しており、三隅研次が手掛けたものでは、最終作となる。