ブリット・マーリングの世界を味わいたくて。私はすごく好きだった。
もし自分自身と会えたらどうするか。印象的だったのは「自分を外から見た時に我々は何を見たいのか?」という言葉。自分自身との会話はいつもしているでしょう?という指摘も。たしかに… といろんな思いを巡らせた。少なくとも私は、私が私であるかぎり見ることも認識することも叶わない、客観的な私というものを見てみたい。
この、自分自身と対面したときの人間の思考と行動については、エルヴェ・ル・テリエの『異常/アノマリー』であらゆるバリエーションが網羅されてた気がする。あの小説もすごくよかった。
ただ本作でのSFというのはあくまで下地というか背景で、基本的にはずっと人間ドラマだった。いつも思うけれどSFというのは哲学で、そういうところが大好きだな…(ちなみにミステリは心理学だと思ってる)。
鳴り止まない音を、ならば愛すること。手のひらに書いたFORGIVE。罪悪感についての物語。