むくむく

田舎司祭の日記のむくむくのレビュー・感想・評価

田舎司祭の日記(1950年製作の映画)
4.0
時間はほぼ2時間だけど体感ではその倍くらい感じた。
この作品はまだ語られている方らしい。
それでも領主の娘の打ち明け話は明らかになっていないし(推察はできる)、司祭が神との対話にたどり着けたかは私にはわからなかった。

閉鎖的な土地で若い司祭ははじめから拒否される。見ていて、司祭として着任したからと言ってすぐには信頼されないだろうと危機感覚えたが、それにしても彼の周りには誰もいなかった。自ら関わって来る少女はいたが、年ごろの女の子の興味がいじわるく曲がってしか現れない。好意的な態度を示そうとした領主は娘のことで意見されるとあからさまに無視するようになった。おまけに医師からは不健康は両親の酒量が原因だと、どうしようもないことを言われる。
食事を胃が受け付けずワインと砂糖だけ(これが周囲の誤解を産むし、司祭自身が自分を害していることをかたくなに認めない)。着任した時は相当病状が進んでいたんだと思う。


領主の甥の話で司祭の中でなにかが崩れた気はした。甥の話は戦場を体験した現実的なものでこちらは司祭の懊悩より受けとめ易かった。ただ神とのことを思い詰めている彼には、特別がないという現実が衝撃だったと思う。甥は囚われていないからこそ司祭にフラットな態度でいられたんだろうけど、それにも気づけなかった。

彼が安らげたのは甥にバイクに乗せてもらったひとときだけだったんだろうか。
祈りが彼の力になれたとは思えない。

でも、意外に重さはなかった。理解は全然できなかったけど。