髙橋佑弥

秘密指令(恐怖時代)/秘密指令 The Black Bookの髙橋佑弥のレビュー・感想・評価

4.0
仏革命×ノワール…という異色混合作だが、本質は"潜入捜査"モノ。独裁者ロベスピエールお手製の処刑予定者閻魔帳を捜索する話。街の捜査から、森の逃走劇まで…撮監はジョン・オルトンで、ひたすらに"夜の映画"として素晴らしい。壁を埋め尽くす無数の黒背本、小銃…禍々しい美術の計り知れぬ貢献。傑作。

身分隠匿の主人公、床に据えられたローポジカメラが殴り倒された主人公の顔を捉えるショット、敵方人物とのバディパート、終盤のステルス展開(子供の協力)など…偶然にも昨日見た同監督作『高い標的』を想起したり。"史実題材"枠として、物語=活劇のために実質歩みを止めていた時代設定="歴史"が、最後の最後で動きだす…という終幕も共鳴している。

元々マッケンジーによって書かれた脚本は、より"フランス革命"要素が強かったらしいが、後から参加したヨーダンが「フランス革命を専攻する学生にしか理解できんよコンナモン」ということで、現状の閻魔帳探索メインプロットに書き換えたらしい。

2020/08/05
髙橋佑弥

髙橋佑弥