Aria

金環蝕のAriaのレビュー・感想・評価

金環蝕(1975年製作の映画)
4.0
過去鑑賞

九頭竜ダムの汚職事件をテーマにした、汚ない政治家を見られるサスペンス作品。
宇野重吉演じる犯罪歴多数の有名な金融屋、石原参吉の元へある人物の秘書が詳細も告げず「2億融資してほしい」とやって来るところから物語が始まる。不明瞭な話に断る宇野だが、どうやらきな臭いと、詳細を調べ始める。物語が進むに連れて見えてきたのは、九頭竜ダム建設工事の入札を是が非でも勝ち取りたい竹田建設と、その竹田建設と献金で強固に結ばれている現首相の寺田率いる派閥。
中心となって手引きをするのは仲代達矢演じる官房長官の星野。星野がかなりのキレ者で、なかなか尻尾を出さない。
この仲代達矢と宇野重吉がメインとなって頭脳戦を繰り広げるのだが…。

寺田派に翻弄され、退任した電力開発会社総裁(永井智雄)が弱きものとして映されており、一見一番正しい行いをしているものと思いきや、彼もまた裏では汚ないことをしている。星野の疑惑を暴こうとする宇野に協力する代議士、神谷(三國連太郎)もお金さえあればどちらにも転んでしまうお馬鹿さん。その他、個性ある登場人物だらけなのだが、善人が一人もいない…。唯一の救いは高橋悦史の新聞記者くらいか。

作品の冒頭でこんな言葉が出てくる。うろ覚えなので、正確な文ではないですが…
「周りは金色に輝いているが中は真っ黒に腐っている」
この言葉通り、栄光に輝いてみえる寺田内閣の中身はがっつりと腐りきっていました。

かなり見ごたえのあるサスペンスです。
Aria

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