OASIS

地獄の逃避行のOASISのレビュー・感想・評価

地獄の逃避行(1973年製作の映画)
3.4
15歳の少女ホリーに惹かれ恋に落ちた10歳年上の清掃員キットが、少女の父親を殺してしまった事から行く当ての無いまま旅をするロードムービー。

テレンス・マリック監督のデビュー作で、マーティン・シーンとシシー・スペイセク共演。
劇中でマーティン・シーンが「ジェームズ・ディーンに似てるな」と街の人達から声をかけられる場面が何度かあるが、それはジェームズ・ディーンに憧れていたマーティン・シーンへの皮肉かキットという人物が抱えるコンプレックスを表現しているんだろう。

行き当たりばったりで少しでも気に障る事があれば誰彼構わず銃で吹っ飛ばすキット。
そんな彼に惹かれたにも関わらず、徐々に行動の異常性が気になり始めてやがて彼の元を去って行くホリーの心情をモノローグで語りつつ進行していく。

シシー・スペイセクの垢抜けず肌の荒れた容姿が、街の人達からも相手にされず一人ぼっちな少女というそれらしさを体現しているし、ホリーがキットに対して抱く感情は思春期特有の危険な匂いがする人への憧れとして理解出来る。
ただ、キットのホリーに対する感情が愛なのかただの欲望の捌け口なのかは分からなかった。
常に眉間に皺を寄せて気だるそうに殺人を繰り返していく姿は全く爽快には見えず、楽しげにも見えないので本当に目的など無いんだろう。

調べると実在の事件を基にしているとの事。
実際の関係もこの映画の様にドライだったのだろうか?
俳優二人が放つ田舎っぽさが妙にリアルでした。
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