このレビューはネタバレを含みます
個人的に名作だと思ってる『僕のピアノコンチェルト』のフレディ・M・ムーラー監督作。
DVDが廃盤でなかなか観る機会がなく、コロナの影響でどうなることかと思ったけど、シネ・ヌーヴォがスケジュール遅らせて上映してくれたので無事観られました。ありがたや。
とにかく山がひたすら美しかった。
つつましやかな暮らしぶりにも見入ってしまったけど、ほとんど自給自足、家族しかいない場所で暮らすのは過酷だろうなぁ...
聾唖の末っ子を過保護なまでに可愛がるとか、男にだけ遺伝する「怒りんぼう」の性質とか、なんだか寓話っぽいな~と思ってたけど、後半は近親相姦とか父殺しとか、神話を下敷きにしてるようにも思える。
(山の上に住む人々=天上界のメタファー?)
そのせいか、ドロドロした作風になってもおかしくないのに、不思議と静かで淡々としており、サラッと見られた。
喪に伏すためなのか祖父母に知らせるためなのか、白いシーツを暗い色に染めて吊したときの、真っ白な雪とのコントラストの美しさ。
あの姉弟はどうなってしまうんだろう。