エリオット

山の焚火のエリオットのレビュー・感想・評価

山の焚火(1985年製作の映画)
4.4
スイスアルプスの山あいのさらに高いところにあるポツンと一軒家で暮らす親子四人の物語…といっても全くほんわかなストーリーではなく、見る者に対し家族とは?人の営みとは?と峻厳な問いを投げかけてくる作品

生まれつきに耳が聞こえない弟が抽象的な概念を身につけることは非常に困難で、その、ある意味純粋無垢な弟を愛しく見守っていると、本来理性的な姉も禁忌に無自覚になってしまうのが自然の成り行きなのか…純粋な激しさを持つ息子と同様自分の激しさをを抑えきれない父親とあらゆるものを受け入れようとする母親の運命は?
雄大で開けた自然に囲まれた家が最も孤独で閉鎖的な空間であるという矛盾…

急斜面な山あいでの長回し移動撮影など実際の撮影もかなり厳しい試みだが、映し出された自然の風景は他に類を見ない美しさと厳しさに溢れていて文句なしに素晴らしい

紀伊國屋DVDは既に廃盤なので再開後の馴染みのミニシアターで観れてよかった
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