ブタブタ

黒蜥蜴のブタブタのレビュー・感想・評価

黒蜥蜴(1968年製作の映画)
4.5
原作・江戸川乱歩✖️戯曲・三島由紀夫✖️監督・深作欣二✖️そして黒蜥蜴・美輪明宏という最強とも言える布陣による『黒蜥蜴』🦎
石井輝男監督『恐怖奇形人間』ですらBluRayが出てるというのに本作は今に至る迄未DVD化で配信もないのが残念なところ。
初めて見たのは今はなき高円寺の超マニアック・レンタルビデオ屋《オービス》にあった輸入VHSで。
この海外盤VHSのパッケージは黄色いバックに赤い文字で黒蜥蜴、そしてファーを纏った白いドレスでサーベルを構える黒蜥蜴(美輪明宏)と明智ではなく剥製役(笑)の三島由紀夫先生が腰だめの戦闘スタイルでナイフを構える姿がババー('ω')ーン!!と並んでる。
三島由紀夫先生はあくまでも特別出演のチョイ役なのに。
何なら明智小五郎やっちゃえばよかったのにと思ったが流石にそれは無理か。
因みに《オービス》では同じ棚に此方も(当時)国内未ソフト化の『MISHIMA』のVHSも一緒に並んでて借りた。
この映画化はあくまでも三島由紀夫による戯曲『黒蜥蜴』の映画化、なので江戸川乱歩・原作の持つ猟奇的な面は控えめで耽美的かつ詩的な台詞の数々など黒蜥蜴や明智の芝居も舞台的。
冒頭のゴーゴークラブ、サイケデリックな美術、ビアズリーの絵、そして黒蜥蜴が歌いながら登場、すぐさま明智と
明智「貴女は詩人だ」
黒蜥蜴「なら貴方は批評家ね」
ってこの二人の初対面の場面の会話は美輪明宏さんがクラブで歌っていた時にそこへ訪れた平岡公威、後の三島由紀夫との運命的な邂逅の場面を思わせる。
乱歩の原作では明智にとって黒蜥蜴はあくまでも二十面相、蜘蛛男、黄金仮面といった怪人達と同列の「強敵」といった意識しかなかった様に思える。
しかし本作ではハッキリと明智は黒蜥蜴に、黒蜥蜴は明智に惚れており「心の中では私が探偵、貴方が泥棒」と黒蜥蜴が語るように之は明智と黒蜥蜴の恋愛が前面に出ており三島先生曰く「美的恐怖恋愛劇」
明智に一方的ライバル心を燃やす的場刑事(演じるは二代目黄門・西村晃!)と黒蜥蜴配下の女毒蛇使いの対決は殆ど異能バトル。
腕を切り落とされ「ウェへへへへ」と嗤いながら死す的場刑事の異常さがカッコよす🐍
若き日の松岡きっこさんが超美少女✨
台詞まわしに三島文学の小難かしさも仄かに漂い、深作欣二監督のケレン味、配信及びソフト化で多くの人に見て欲しい乱歩実写映画化の中でも飛び抜けてカルトの奇作・快作。
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