ちか

ベンジャミン・バトン 数奇な人生のちかのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

この作品は、80代の年老いた姿で生まれ、歳をとるごとに若返っていき、0歳で生涯を終えた「ベンジャミン」の奇妙な人生を、数々の出会いと別れを通して描く映画です。この映画は、2009年アカデミー賞でメイクアップ賞や視覚効果賞、美術賞などを受賞した作品であり、前から気になっていたので、今回鑑賞することにしました。この作品の魅力は、顔や体の特殊メイクです。赤ちゃんの時から80歳として生まれているので、小さい体がしわくちゃであり、とても不気味である。年齢を重ねて行くごとに、ベンジャミンのシワが減っていくのですが、逆にベンジャミンの恋人は、どんどん歳をとっていきます。私が、特にこの作品で特殊メイクの素晴らしさを感じたのは、ベンジャミンが20代で彼女が60代程度の時に、彼女を抱くシーンです。20代は、バレーをしていたため、ハリがあり美しい体をしていました。しかし、そのシーンでは60代相応の体になっており、後ろ姿は少し体にたるんでいました。そのため、その後ろ姿が写った時、同じ女優でも、特殊メイクや視覚効果でここまで変化させられることに驚きました。この映画は、普通に歳をとる彼女と若返っていく主人公を描いて行くため、二人の年老いた姿は交差していて、どちらかが若くてどちらかが老いている。そのため、特殊メイクや視覚効果は、この作品では一番重視されるべきものであり、それを見事に成功させた作品であり、その演出が視聴者を切なくし、感動を呼ぶものとなったのだと思います。


内容は、とても切ないです。40代になってやっと2人が同じ歳相応になるのですが、その時に、2人は今まで出来なかった分を沢山愛しあいます。子供もできます。しかし、ベンジャミンは、今後は若返って子供になります。だから、別れを告げます。そして数年後、もっと20代になったベンジャミンが、また彼女に会いに行き、1度だけ抱きます。おばあちゃんになりかけている彼女の体をじっと見つめるベンジャミンをみて、とても切なくなりました。
その後、ベンジャミンは少年となり記憶をなくし、そして0歳になり、全てを思い出したかのように彼女をじっとみて、そのまま息を引き取ります。
とても切なく、そして悲しい恋の物語でした。彼らの人生にはとても大きな変化や葛藤があり、時の流れが過ぎていく事に彼らは、成長していくが、隣には相手はいない。お互いが同じ歳ではなく若返ったり歳をとったと、見た目や体を見て、この恋をあきらめる選択をするのが、とても切なかったです。でも、自分のことを忘れてしまったベンジャミンをおばあちゃんになっても、母親ように育てて、死を見届けた彼女の愛を見て、心が温まりました。
素敵な映画でした。
ちか

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