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血を吸うカメラのxoのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
2.8
1960年制作というのを踏まえると、テーマ設定は先駆的だし、画面作りや演出に美的なセンスが見られ、傑出したものがあるのは確か。
殺害を行う側に視点を置き、トラウマに起因する特殊な性的嗜好を取り上げ、その抑え切れない衝動や欲望を描いている。加害者でありながら被害者としての側面もあるという描き方になっている。

ただ全体を通して、なかなか惜しい作品という印象。
テーマに対し、描写や登場人物の言動が理屈っぽく頭でっかちな感じ。

そもそも面白さが弱い。ホラーとしては身につまされる恐怖が薄いし、クライムサスペンスとしては作りがゆるい。
主人公を見せすぎていて、みるみるうちに怖くなくなっていく。狂気があまり感じられなくなってくる。彼に共感させたいのだとしたら、そのわりには孤独や苦悩みたいなものはあまり身につまされない。

ツッコミどころ多数。主人公は怪しまれる行動ばかりとっている。脇が甘いどころか、隠そうとする様子もない。そのわりに周囲の人々にしたって警察にしたって反応が鈍すぎる。愚鈍に見える。わざと泳がせてあげているようにすら見える。
アパートの女性は初対面の時からグイグイ話しすぎ。あのシチュエーションで冷静すぎでしょ。彼に惹かれることに納得できうる彼女の背景事情を描いているならまだしも。。「お父様は何を目的にそういうことをやったの?」とか妙に固いセリフも気になる。
その母親にしたって、なんで危険だと思っているのに娘を行かせているのか謎。つまるところご都合主義なんだよな。。

殺人にしろヌードにしろ直接的に描写しておらず、実際にヌードじゃないのにヌードである体で話が進行するところがあったりするのは、飲み込みづらい。。
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